取締役会

株式会社には役員が存在します。
役員の種類は委員会設置会社とそうでない会社とで若干異なります。
ここでは、圧倒的に多い委員会を設置していない会社の役員についてお話しをさせていただきます。

株式会社の役員等は以下の種類があります。

  • 取締役
  • 代表取締役
  • 監査役
  • 会計参与
  • 会計監査人

※取締役、監査役には社外取締役、社外監査役が含まれます。

専務・常務取締役という役職をお聞きになったことがあると思いますが、これらの役名は会社法で規定されたものではなく、あくまでも会社内部的な職制として扱われます。

取締役、代表取締役は株式会社では必ず置かなければいけませんが、監査役以下の役職は組織の形態によっては必ずしも置く必要はありません。
※どのようなケースで置かなければいけないかは後述を参照下さい。

会社法では各役員等に関して2つのやらなければいけない事を規定しています。

1つ目は役員等の選任です。
役員等が任期等で法律や定款で決められた員数を欠くこととなった場合は、補充の役員等を速やかに選任しなさいと規定しています。

2つ目は登記です。
役員等が就任、退任、再任した場合、変更が生じてから2週間以内に登記しなさいと規定しています。

これらを怠った(懈怠)場合、百万円以下の過料に処するとされています。
※この過料は会社に対してではなく、代表取締役個人に対して科せられます。

役員等の員数を欠く

役員等の設置人数は法律で規定されています。
設置人数やある種類の役員を置かなければいけない等の制限は、会社の形態や取締役会の有無等で異なります。
また、定款でも人数や役員を置くことを決めることもできます。

そして、法律や定款で決められ人数、役員が退任等で欠く状態になった場合、速やかに後任の役員を選任しなければいけません。

法律で規定されている役員等の人数、設置の要否

    1. 全ての株式会社は、必ず1人以上の取締役を置かなければいけません。
    2. 公開会社(株式の全部又は一部に譲渡制限が付いていない)は取締役会を置かなければいけません。
    3. 取締役会を置く会社は、3人以上の取締役を置かなければいけません。
    4. 取締役会を置く会社は、監査役を置かなければいけません。
      非公開会社(全株式に譲渡制限が付いている会社)であれば、監査役の替わりに会計参与を置くことができます。

また、大会社(資本金として計上した額が5億円以上、負債として計上した額の合計額が200億円以上の会社)は、取締役会、監査役(公開会社であれば監査役会が必要)、会計監査人を置かなければいけないと規定されています。

上記が会社法で規定されいてる内容です。
これとは別に会社独自に定款で人数や役員の種類を増やすことができます。
法律に照らして設置義務が無くても監査役や会計監査人を置くことができますし、役員数を増やすこともできます。※定款で法律で規定されている内容を緩和することはできません。

役員等の員数を欠くケース

役員等は任期満了、辞任、解任、死亡等々の事由で退任します。
そして、役員が退任したことにより法律で規定された員数を欠くことになった場合、会社はすみやかに後任を選任しなければいけません。

例えば、
取締役会を設定している会社の取締役が3人でうち1人が亡くなった場合、亡くなった取締役は死亡日をもって取締役を退任することになります。
これにより取締役は2人になってしまい、取締役会設置会社の取締役の最低員数3人に対して1人欠いた状態になります。
この場合、すみやかに規定通りの員数にするために後任の取締役を選任しなければいけません。
また、取締役会を置いていない会社が定款で「取締役を2人以上置く」と規定している場合、取締役が1人になってしまったら同様に後任の取締役を選任しなければいけません。
※会社法で規定されていなくても、定款で規定すればその内容に従わなければいけません。

しかし、取締役や監査役等の役員を選任するには株主総会を開いて決議により選任しなければいけないので、そのハードルの高さにより選任を放置してしまうことがあります。

役員等が退任する事由

以下の事由で役員等は職を退任します。

  1. 任期満了
  2. 辞任
  3. 解任
  4. 死亡
  5. 委任の終了

※会社が委員会設置会社に変更された場合に役員が退任する等の特殊ケースは除外します。

任期について

任期は役員の種類で異なります。

取締役の任期は、基本的に2年です。定款に規定すれば2年以内の任期にすることも可能です。
非公開会社であれば最長10年まで延ばすことができます。

監査役は4年です。監査役も同様に非公開会社であれば10年まで延ばすことができます。
ただし、取締役のように4年未満に短縮することはできません。
最短4年となります。

会計参与は取締役と同様です。基本的に2年、定款で短縮も可、非公開会社であれば10年まで延長可です。

会計監査人は1年です。短縮、延長はできません。

任期期間である2年とか4年の期間は、就任した日から2年、4年ということではありません。
任期2年とは、選任されてから2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでが任期であることを指します。
例えば事業年度が4月1日~3月31日までの会社で、令和元年10月1日に取締役に選任された方の任期は選任から2年後の令和3年9月30日以内に終了する事業年度、つまり令和3年3月31日終了後に行われる定時株主総会の終結までとなります。

同じ方に継続的に役員等をやってもらう場合、そのままの状態でいいのではと思われるかもしれませんが、任期満了により一旦退任することになるので再度選任することが必要です。
この場合、登記は「重任」として記録されます。
※会計監査人に限っては、同じ方に引き続きやってもらう場合は選任決議は必要ありません。

委任の終了

役員等と会社の関係は、雇用関係ではなく委任関係になります。
そして、民法には以下の事由が生じたら委任関係は自動的に終了すると規定されています。
よって、役員等に下記のような終了事由が生じると退任することになります。

  • 破産手続き開始決定をうけた。
  • 後見開始の審判を受けた。

上記事由で退任することにはなりますが、退任後に再び選任することは可能です。

役員の員数を欠いている場合の取扱い

任期満了の場合は、満了となる株主総会で新たな役員を選任します(同じ役員でももちろんOKです)。この場合、退任と同時に新たな役員が就任します。

また、辞任や死亡のように予期せぬ退任によって取締役が欠くことになってしまう場合に備えて、予め「補欠取締役」を選任しておくこともできます。
欠いた状態になると、補欠取締役が取締役となり補充されます。

しかし、補欠取締役もおらず、総会で新たな取締役も選任しなかったらどうなるか?

退任した取締役は次の取締役が選任されるまでの間、取締役としての責任を負うことになります。
このような取締役を権利義務取締役と言います。
※権利義務取締役になるのは、任期満了か辞任により退任する取締役に限ります。
この場合、次の取締役が選任・就任するまで退任の登記をすることができません。

選任懈怠責任

会社法976条22項に100万円以下の過料に処せられる場合として、「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任(一時会計監査人の職務を行うべき者の選任を含む。)の手続をすることを怠ったとき。」と規定されています。

懈怠が生じたらすぐに処分されるかというとそうとは言えませんが、数ヶ月もの長期に渡って放置したままであれば、裁判所により処分を受ける可能性が高くなります。

役員等の登記を怠る

役員等に変更(就任、退任等)が生じた場合、生じた日から2週間以内に登記をしなければいけないと法律で規定されています。※代表取締役は住所も登記されるので、転居で住所が変われば住所変更登記が必要になります。

欠員が生じた場合は、すみやかに補充役員を選任して登記する。選任と登記はセットであるとご認識下さい。

役員等以外の登記

登記すべき事項は役員等だけでなく、さまざまな事項について登記することが規定されています。
以下主な事項を参照下さい。

  • 商号
  • 本店所在地
  • 目的
  • 公告方法
  • 発行可能株式総数
  • 発行済株式総数
  • 役員の名前
  • 代表取締役の住所・名前
  • 資本金の額等々

上記のような登記事項に変更が生じると2週間以内に登記するよう規定されています。

まとめ

登記簿を管理しているのは法務局ですが、登記されているおびただしい数の株式会社について登記の懈怠があるか都度チェックしているわけではないので、登記を放置していればすぐに処分されるというわけではありません。

多くは、登記を放置していた後に新たな役員が就任したので登記を申請したような場合、申請を受けた法務局側に従前の登記の放置を知られ処分される、、というようなケースが多いです。

また、定期的に法務局は「みなし解散」の手続きを行います。
12年間何も変更等の登記申請をしていない株式会社に対して、取締役は最長でも10年任期なのに10年過ぎても役員等の登記がされていないということは会社として活動していないものとして、法務局側で強制的に解散登記手続きをしますよ、という通知をします。
この通知を受領したらすぐに事業活動している旨の報告をし、必要な登記申請をしなければいけません。
そして、このときに登記申請懈怠について処分されることになります。

法律では過料は最高100万円となっていますが、どの位の期間経過したらこれだけの過料が科せられるというような過料を計算するような式はありません。

おおよそ、、、ですが、
数ヶ月~数年の懈怠で1~5万円程度
5年前後~10年超えで5~10万円程度、、かと思われます。
ただし、これらは過去の実例であり、過料が高額化することも考えられますので、あくまでも最高100万円まで過料に科せられるおそれがるとご理解下さい。