新しく会社を設立するとき、どの時期に設立したらよいか相談を受けることがあります。
六曜を意識されて「大安」の日を設立日に選ばれる方も多いです。
※設立日は設立申請書を法務局に提出した日になります。
この設立日に関しては、選んだ日によって設立後の会社運営にも影響しますので、じっくり検討して選ぶことが必要です。
設立日を慎重に選ぶ理由の一つとして事業年度が関係します。
会社を設立する際、事業年度(1年間)を決めなければいけません。
事業年度開始日を決めて、それから1年を会社の事業年度とし、年度終了後に決算を行い確定申告をすることになります。
開始日をいつにするかについて制限はありません。
1月でも5,10月でもいつでも良いです。
多くは、国の会計年度に合わせて4月1日から3月31日を事業年度にしていますが、これに合わす必要はありません。
設立日と事業年度
事業年度を決めて会社の設立申請をすることになります。
※定款に事業年度を記載しなければ無効になるということはありませんが(事業年度は定款の絶対的記載事項ではありません)、通常、定款に記載しておきます。
どちらにせよ、開業時に税務署に法人設立届出書を提出しなければならず、それに事業年度を記載しなければいけません。
そして、申請した日(会社設立日)と事業年度の関係ですが、注意するのは初年度になります。
例えば事業年度を4月1日から3月31日にして11月1日に設立した場合、初年度の事業年度は11月1日から翌年の3月31日の5ヶ月間となります。
新会社と消費税
会社は事業者として消費税を納税しなければいけませんが、全ての会社に納税義務があるのではなく、対象となる課税売上高が1,000万円を超えた場合に初めて消費税の納税義務が生じます。
但し、新たに設立された会社については、最初の1事業年度と次の事業年度の2期は、原則として納税義務が免除されます。
ここで注意いただきたいのは、1年目、2年目ではなく、1期目、2期目ということです。
事業年度が基準になります。
事業年度を4月1日から3月31日にした会社を事例に設立日と消費税を検討します。
- 12月1日に会社を設立(登記)した場合、第1期の事業年度は12月1日から3月31日になります。
この場合、第1期の4ヶ月間の売上に対して消費税の納税義務が免除されます。 - 5月1日に会社を設立した場合、第1期の事業年度は5月1日から3月31日になります。
この場合、第1期の11ヶ月間の売上に対して消費税の納税義務が免除されます。
このように納税が免除される第1期を出来る限り長くとることで、免除を受ける額を大きくすることができます。
何も考えずに3月1日に会社を設立してしまうと、消費税の納税免除を受ける第1期がたった1ヶ月になってしまいます。
もちろん、会社設立日、事業年度は消費税だけで決めるものではありません。
設立者の都合もあるでしょうし、業種によっても検討する基準が変わってきますが、以上のことは会社を設立する際の判断基準の一つになります。
※第1期開始から半年間の課税対象売上1,000万円を超えてしまうと、2期目から消費税が課税されることになります。
また、他にも消費税が免除されないケースや税法が改正されたりしますので、検討するときはしっかりご確認下さい。
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