家庭裁判所

財産を持っておられる方が亡くなると相続が生じます。
亡くなられた方の財産の処分方法を決めなければいけません。
遺言書があればその内容に従って処分されていきますが、なければ相続人全員で協議して決めることになります(遺産分割協議)。

協議でまとまれば、正式に遺産分割協議書を作成して協議内容通りに遺産を分けていくことになりますが、まとまらなければどうなるか。
延々と話し合いが続き、互いの不信感も積もり、結果、絶縁状態になって遺産を放置する、、のようなこともあります。

故人名義の不動産を相続登記せずに放置しておくことは、問題の先送りでしかありません。
先送りどころか、さらに状態を悪化させることになります。

故人A名義の相続人がB、Cであれば協議はBCで行いますが、まとまらず放置してしまうと、やがてBが亡くなりCも亡くなるとA名義の土地の処分はその子供たち全員で話し合って決めなければならなくなります。
関係者が多くなればまとめるのも難しくなります。
親の争いを子に引き継がせることになってしまいます。

このような状況を回避するためにも、相続問題は自分の代で解決することが重要です。
しかし、協議がまとまらず互いに言い争いを続けるのは両者にとって何の得にもなりません。
このようなときは、早急に第三者に解決をお願いすることが大切です。

そこで、今回は家庭裁判所での遺産分割調停についてお話します。

家庭裁判所の遺産分割調停とは

遺産分割調停は家庭裁判所で行われます。
相続人全員で申立てる必要はなく、相続人の1人からでも申立ては可能です。

調停は裁判のように法廷で裁判官の面前で意見を主張する、、ようなものではありません。
法廷ではなく普通の部屋で行われます。

調停は裁判官ではなく調停委員という社会的経験豊富で専門的知識を持たれているような方が、当事者の意見を聞いて話しをまとめる形で行われます。

遺産分割調停での司法書士よるサポートの役割

調停は家庭裁判所で行われ、自分の考えを調停委員に述べることになります。
司法書士は調停において代理人になれませんので、当事者に代わって家庭裁判所で意見を述べることはできません。
代理人になれるのは弁護士だけです。

司法書士が調停においてサポートできるのは、裁判所に提出する書面の作成になります。
司法書士法第3条に「司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。」とあり、3条第4項に行う事ができる事務として「裁判所若しくは検察庁に提出する書類」と規定されています。
※行政書士には裁判所提出書類の作成、作成に関する相談は認められていません。

遺産分割調停においては、以下のようなサポートを行います。

  1. 遺産分割調停申立書作成
  2. 申立てに必要な書類(戸籍謄本等)の作成・収集
  3. 調停において提出する書面の作成(主張書面・上申書等)

調停での提出書面

調停は調停委員が各相続人から個別に話しを聞きながら進めるので、相続人が一堂に顔を合わせて話し合う、というようなことはありません。

調停委員に対して自分の意見を言うのですが、ときに、主張したいことを書面で提出することを求められます。
主張が相手側の特別受益であったり、こちらの寄与分であったりすると、内容が複雑になり口頭だけで進めることは難しくなります。
誤解を避けるためにも、調停委員は主張内容を書面にして提出させ、裁判官の意見を聞き、また、相手側にも主張内容をしらせて話しを進めることになります。

司法書士が書面を作成する際、例えば、特別受益や寄与分、遺留分とはどのようなものか、法定相続割合とは何か等々を説明させていただきながら、ご依頼人の想い、主張したいことをじっくりお伺いします。
特別受益や寄与分等を主張する場合、主張するだけではなかなか認めてもらえません。
証拠となる資料や関係書類が必要になりますので、どのような書類が必要になるかの話もさせていただくことになります。

このようにご依頼人と協議をさせていただきながら私共が書類を作成し、その内容を修正、確認しながらまとめていきます。
また、作成過程で内容を読み返えしていただくことでご依頼人の気持ちも整理されていくと思います。
ただし、書面を提出した後、それに関して調停委員の質問に応えたり意見を述べるのはご本人です。
司法書士は弁護士のように代理人になって調停委員に意見を述べることはできませんし、調停の場に立ち合うこともできません。

よって、ご自身の意見を明確にし、それがしっかり反映されている書面を作成することが重要になり、当所はそれを基本に書面を作成することを心掛けております。

※紛争内容が複雑で主張されたいことが高度な法的知識を要するような場合は、弁護士にご依頼されることをおススメさせていただきますので、あらかじめご了承下さい。

調停がまとまらない

調停委員は当事者間の意見を聞きながら互いの妥協点を探ってまとめようと調整してくれますが、妥協できない場合は審判になります。
審判では調停委員ではなく裁判官が内容を精査し、決定を出します。
決定は判決と同様なので、決定後は従うか即時抗告(控訴)するかの選択になります。
即時抗告は高等裁判所で行われます。

※調停から審判に移行したとき、裁判官による聴き取り、主張書面の提出等が行われることもあれば、調停での聴き取り記録、提出資料で十分と判断されすぐ決定が出される場合もあります。

ご相談は事前にご予約下さい。土、日、祝日や仕事終わりの夜(20時まで)のご相談も対応可能です。