私道

大きな土地を宅地として開発しているケースが良くあります。
元は1つの土地(1筆)であったものを区画整理して分割し、宅地として分譲します。

その場合、公道に接している部分に位置する宅地は公道から直接出入りできますが、公道に接していない奥の宅地は区画内の土地を通らないと公道に出ることができません。
そこで、公道にでるための道を区画内に造設します。

私道管理

この区画内に造設された道が私道(私有の道路)になります。
道路であっても私道なので所有権者が存在します。

このような道路がどのように所有されるかというと、

  1. 区画地の所有者であるABCD全員で共有(共同所有型私道)
    共同所有型私道は、各自等分であったり所有地の面積に応じた持分を所有することになります。この形態が多いようです。
  2. 図のように私道を細分してそれぞれをABCDが単独で所有(相互持合型私道)
    各自が自分名義の土地を互いに持ち合って私道として全員で使用する形になります。
    私道共有
  3. 区画整理会社が単独で所有する。
    開発業者が所有者であれば、私道の維持管理には業者が行うことになり、私道について何らかの問題が生じた場合は業者と協議することになります。

というような形態がとられます。

国道や県道のような公共道路であれば、国や県が維持管理してくれますが、私道の場合は所有者が管理することになります。
そして、この維持管理方法について所有間でトラブルになることがありますが、今回、この点について民法改正(令和5年4月1日適用開始)が行われましたので解説します(法務省民事局 共有私道の保存・管理等に関する事例研究会のガイドライン参考 )。

共有物である私道の管理

上記1、2のように区画地所有者が私道を所有している場合、区画所有者全員が共同して私道の維持管理を行うことになります。

区画整理開発して分譲するときに、私道の管理方法等の取決めをしているちきはその取決めに従って維持管理されることになります。
しかし、取決めがなかったり区画開発がされたのはずっと前のことで所有者も変わったりして取決めあったかどうかも分からないような場合は、民法に従うことになります。

現行(改正前)の民法では、複数人が共有している私道(土地)について次のように規定されています。

  1. 共有物に変更を加えるには、共有者全員の同意が必要。
    「変更」とは、共有物を物理的に改変、処分する行為を指します。
    例えば、私道をつぶして畑にするような物理的な変更や売却するような法律的な処分行為が該当します。
  2. 管理に関する事項は、各共有者の持分の価格の過半数で決する。
    「管理」とは、性質を変えない範囲での利用・改良行為を指します。
    例えば、私道の地下に上下水道を新設するような行為が該当します。
  3. 保存行為は、各許攸社が単独ですることができる。
    「保存」とは、現状を維持するための行為を指します。
    私道を部分的に補修したりする行為が該当します。

上記のよに3種類に区別されていますが、どの行為がどの種類に該当するかは判断が難しいケースもあります。
私道の補修は「保存」行為に該当しますが、補修部分が広範囲でほとんど全面補修というような場合は、「管理」行為に該当するでしょう。

管理方法の改正

共有物の管理方法について民法(252条)が以下のように改正され、令和5年4月1日から適用されることになっています。

改正法でも共有物に対する行為は「変更」「管理」「保存」の3種類で変わらないのですが、その内容が改正されています。
「変更」をする場合、全員の同意が必要でありハードルが高いのでその部分が緩和されています。

改正前では、共有物を変更する行為は、その内容、程度に関係なく共有者全員の同意が必要でした。
例えば、共同所有型私道の形状を変更するときは、共有者全員の同意が必要とされます。
しかし、共有者への影響が小さな場合でも全員の同意が必要となると時間もかかり円滑な利用を妨げることにもなります。

そこで、改正により形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な変更については、共有者全員の同意ではなく、共有者の持分の過半数で決するとされました。
「形状の変更」とは、その外観、構造等を変更することをいい、「効用の変更」とは、その機能や用途を変更することを言います。
例えば、砂利道のアスファルト舗装や、建物の外壁・屋上防水等の大規模修繕工事は、基本的に共有物の形状又は効用の著しい変更を伴わないものに当たると考えられます。

ただし、変更が軽微かどうかは共有者によっては捉え方が異なるでしょうから慎重な行動が求められます。
一般論としては、例えば、砂利道をアスファルト舗装する行為は、軽微な変更に該当すると考えられるとされています。
※当然、無用な紛争を避けるためにも、管理行為として過半数者が一方的に行為をするのではなく事前説明と了承を得ることが最善であることは言うまでもありません。

「管理」についても改正がされています。
管理行為が過半数で決定されても、共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その共有者の承諾を得なければならないとされました。

つまり、特別の影響を受ける共有者が過半数に入っていない(賛成していない)場合、承諾を得るまで管理行為をすることができなことになります。

特別の影響とは、管理行為により共有者に受忍すべき程度を超えて不利益を生じさせることを言います。
事案に応じて個別に判断されることになりますが、例えば、共有者間の決定に基づいて特定の共有者が共同所有型私道の特定の場所に給水管を設置して水道水の供給を受けている場合に、他の共有者により持分の過半数の決定でその給水管の設置場所を変更するとされ相当期間水道水の供給が止められるようなケースは、特別の影響に該当するとされています。