民法改正ー7 共有不動産の変更行為|福岡の司法書士フィオルーナ法務事務所

不動産が共有されている場合、共有物をどうのように管理等していくかが問題になることがあります。
共有物である不動産に対する行為について、法律的には「保存行為」「管理行為」「変更行為」の3種類が規定されていますが、「変更行為」について民法の条文が改正されました。

今回は、共有物の変更行為について今回どのように改正され、それがどのような影響をもたらすかを解説します。

共有物の変更行為

変更行為とは、共有物の形や性質に変更を加える行為をいいます。
具体的な行為としての規定はありませんが、共有物に対する何らかの物理的な変更行為や売却等の法律的な処分行為をいいます。

形や性質に変更を加える行為と言っても、では、具体的にどのような行為が「変更行為」に該当するかは明瞭ではありません。
この点が過去、裁判でも争点をなったりしています。

過去の判例等からみて、以下のような行為が該当すると考えられます。

  • 田・畑を宅地に造成する。
  • 盛土工事。
  • 共有地に建物を建てる。
  • 建物の増改築を含む大規模改修・建替え工事。
  • 担保権(抵当権等)の設定。
  • 長期の賃貸借契約等々

変更行為規定の改正

改正前:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」

改正後:「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。」
「共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。」

共有物に対する変更行為は、影響が大きいので共有者全員の同意がなければできないと法律で規定されています。

改正前は、変更行為については例外なく全員の同意が必要とされており、比較的軽微な変更であっても変更行為に該当するとされれば全員の同意が必要になり、1人でも反対すれば出来なくなります。
また、共有者の中に所在不明、行方不明の者がいても、法律上はその者を無視して変更行為をすることはできません。
どうせいないからと、無視してやってしまうと、後日、不明者が現れたら損害賠償を問われるおそれもあります。

軽微な変更行為について

軽微であっても変更行為に該当する場合は例外なく全員の同意が必要とされていましたが、改正後は、変更行為に共有者全員の同意が必要なことは変わりませんが、「形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く」という例外規定を設けられました。

「形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」とは、軽微な変更行為のことです。
改正により軽微な変更行為であれば管理行為と同様に共有者の持分の過半数でできるようになりました。

共有者への影響が軽微な変更行為にまで全員の同意を必要としてしまうと、円滑、迅速な対応に支障をきたすことが考慮され、決定要件が緩和されたことになります。

不明者への対処

共有者に所在不明者がいる場合、全員の同意が必要な行為はもとより、不明者の持分が過半数であれば軽微な変更行為も迅速にできません。
そこで、改正により裁判所に申立てをし所定の手続(※1)をすれば、不明者を除外して共有物に対して変更行為をすることができるようになりました。

※1:共有物の所在地を管轄する地方裁判所に申立を行い、1ヶ月以上の期間を設けて不明者に対して異議の届出をする旨の公告を行った上で裁判所の決定及び他の共有者の同意を得て変更行為をすることになります。