家族信託

中高年の再婚

離婚や死別により配偶者と別れ独身となった中高年の方が再婚することがありますが、問題になるのが身内からの反対です。

子供も成長し独立し、夫婦2人で生活していたが配偶者が亡くなり1人で生活していた方が、新たな出会いで再婚する、というようなケースがありますが、ここで問題になるのが相続です。

お子さんにとっては、突然、全く知らない人が親と結婚し、親が亡くなったら配偶者として自分と同様に相続人になることに抵抗感を持つでしょう。
お子さんが自身の生活や子育て等で金銭的に余裕がない状態であれば、親の資力をあてにするのも当然です。
その状況で、いきなり自分とは全く関係のない人が相続人として親の財産の半分を相続されることに抵抗するのも無理もないと言えます。

このように親の再婚問題で、親と子の関係が悪化してしまうことがあります。
子供としては親が老後に単身で暮らすより再婚相手と共に暮らす方が良いと思っていても、遺産、相続がかかわってくると素直に喜べなくなってしまいます。

実際に、有名な方が再婚して亡くなった後、再婚相手と実子が相続で争っている報道や後妻業という言葉を耳にしたりします。

そこで、この相続の観点から中高年の再婚問題を検討していきます。

問題点

若いときの結婚は、経済的には何もない状態から夫婦で財産を形成していくことになりますが、中高年の結婚ではある程度の経済力を持った者の結婚になります。

例えば、再婚時に夫(又は妻)が既に所有している家や財産は、夫(又は妻)の固有の財産です。
仮に、離婚する場合、これらの財産は結婚後に形成した夫婦共有財産ではないので、基本的に財産分与の対象にはなりません。

しかし、相続に関しては、結婚前、後に取得した財産かどうかの区別はありません。
再婚した瞬間から、配偶者として相手の財産(遺産)に対して法定相続割合を相続する権利を取得します(法定相続割合の詳細はこちら)。

子どもがいる方が再婚して亡くなった場合、再婚相手は遺産の半分を相続することができます。
再婚相手の子供と養子縁組をしていたら、実子と全く同等の相続権を取得します。

血縁関係のある実の親子、兄弟姉妹であっても相続で争うことが少なくないことを考えれば、血縁関係のない者が共同相続人となって円満に相続することは簡単ではないでしょう。

子供への対策

再婚する際、子供の反対に対して、再婚相手への相続する割合を低く抑えておくような「遺言書」を残しておくと説明して、子供の相続に関する不満を緩和します。

遺言書が無ければ再婚相手の相続割合は2分の1と半分になりますが、遺言書で遺留分である4分の1にまで縮減することができます。

ただし、公正証書で遺言書を作っても、再婚後に新し日付で自筆の遺言書を作成すれば、新しい方の遺言書が有効になるので、実子としては懸念事項が残るかもしれません。

また、相続問題を回避するために籍を入れない「事実婚」という選択肢もあります。
事実婚では配偶者間で相続権は生じないので、親族の反対も軽減できるでしょう。

相続権は一切認められないので、自分亡き後の事実婚相手の生活面が心配であれば、遺贈という形(遺言書にその旨を記載する)である程度の財産を渡すことができます。

また、別の方法として家族信託があります。

家族信託

中高年の再婚で問題になる相続について、家族信託制度を利用して対応することができます。

家族信託とは、自分の財産を指定した方のために、信頼できる家族・親族に託して管理・運営・処分等をしてもらう制度です。

財産を預ける人を「委託者」
管理・運営する人を「受託者」
信託で利益を得る人を「受益者」
と呼びます。

前妻との間に子供(Cさん)がいるAさんが、Bさんと再婚する場合、Aさんが持ち家等の高額な財産を所持していたら、子供との間で将来起こりうる相続をめぐってトラブルになってしまうおそれがあります。

Aさんとしては、自分が死んだ後のBさんの生活が心配でしょうし、子供Cさんは知らないBさんに父親の遺産を半分も持っていかれることに対する不満があるかもしれません。
そこで、双方の心配と不満に対処する方法が家屋信託になります。

家を持っているAさんが委託者となって行う信託の一例を以下にあげます。

  1. Aさん名義の家を信託財産にする(※1)。
  2. 信託財産を管理する受託者をCさん(又はその他の親族)にする。
  3. Aさんが生存中は受益者をAさんとして、今住んでいる家でBさんと一緒に暮らす。(※2)
  4. Aさんが亡くなったら受益者をBさんとしBさんは引き続き住んでいる家で暮らす。(※3)。
  5. Bさんが亡くなったら信託終了とし、家はCさんに帰属するものとする。

上記の家族信託では、AさんとBさんが再婚してAさんの家にBさんと一緒に暮らします。
Aさんが亡くなってもBさんは引き続き亡くなるまでその家に住み続けられ、Bさんが亡くなったら家はAさんの実子Cさんが取得することになります。

これにより、Aさんは老後を共に過ごすBさんの生活面のケアができ、実子CさんもAさん名義の家を最終的には相続できることになります。

※1:家は信託を原因として受託者名義に変更されます。
※2:受益者は、従来通りに信託された家に住み続けられるとする。
※3:信託管理は信託契約書の内容に従うことになるので、CさんはBさんを家から退去させることはできません。

残された人生をより良いものにするための再婚が、多くのトラブルを起こしてしまうことは避けなければいけません。
関係当事者間の十分な話し合いの中で、互いが納得できる内容で丁寧に信託手続きを進めていくことが重要です。

家族信託は、しっかりした計画に基づいた契約書を作成しなければいけません。
信託期間は比較的長期にわたることになるので、いい加減な内容だと途中で思わぬトラブルに見舞われます。

各ケース毎に家庭環境、家族関係等々が異なるので、柔軟かつ不測の事態にも対応でるような計画立案が必要です。

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