住所変更登記

不動産を相続や売買等で新たに所有すると、所有した不動産の登記簿に所有者と住所と氏名が登記されます。

※登記は自動的にされるものではなく、法務局に申請しなければいけません。

登記簿に登記される(公示される)ことで、公に所有者として認められることになります。

以降、不動産に関して何らかの権利変更・設定の申請(所有者変更、担保権の設定等)をするとき、申請者が登記簿に記載されている住所、氏名の者と同一人物であることを証明するため、印鑑証明書を法務局に提出します。

法務局は、印鑑証明書に記載されている住所、名前と登記簿上の住所、名前が同じであることをもって同一人物と判断する一つの材料とします。

不動産所有者の引っ越しと登記

不動産の所有者が同一市区町村内に引っ越した場合、役所に転居届を提出すれば、自動的に印鑑証明書の住所も変更されるので、転居届の際に印鑑証明書の住所変更届は必要ありません。

同一市区町村外に引っ越しする場合、旧住所地の役所には転出届を提出します。

印鑑登録は市区町村で行われており、転出により引っ越し前の印鑑登録は廃止されるので(廃止届をして印鑑カードを返却する)、引っ越し先で新たに印鑑登録する必要があります。

登記簿上の住所と異なる

不動産を取得して所有者として住所、氏名を登記した後に住所を移転したら、不動産に記載されている住所も変更する必要があります。

しかし、引っ越しするとき役所には転居届や転出届を提出しても、法務局で住所変更申請までをする方は少なく、結果、登記簿上の住所は何年も旧住所のままというケースがあります。

このように、現住所と登記簿上の住所が異なっている状態で売買による移転登記申請や抵当権の設定登記の申請をした場合どうなるか?

申請の際に提出した印鑑証明書に記載された住所(現住所)と登記簿に記載された住所(旧住所)が異なるので、法務局は申請者が登記簿に記載された所有者であるとの確認ができず、申請は却下されてしまいます。

住所変更申請

上記のように住所が異なったままでは移転登記等の申請ができないので、まず、登記簿上の住所を現住所に変更登記する必要があります。

申請書には、

〇番所有権登記名義人住所変更
年月日住所移転
変更後の事項 住所 ○○市○○区〇〇

と記載し、住民票を添付して変更申請します。

※複数の不動産について一つの申請で住所変更する場合や共有者の住所変更する場合は、記載内容が若干異なります。

住所変更登記は事前にしておく必要はないので、移転登記等の申請と一緒に申請(連件申請)しますが、必ず申請の順番を1番とします。

複数回住所移転していた場合

A地からB地に住所を移転していた場合、登記簿上に記載されている住所A地をB地に変更申請するだけですが、A地からB地、そしてC地に移転している場合はどうするか?

移転の過程のとおりに全部の地を申請しなければいけないか、A地から(B地を飛ばして)C地へ変更登記できるかですが、A地から直接C地に変更登記することが認められています。

ただし、申請する際は、A地からB地、そしてC地へ移転したことが分かる証明書が必要です。

現在のC地の住民票には、B地から移転したことが記載されていますが、A地からB地への移転が記載されていません。

そこで、このような場合は、住所の変遷が全部記載されている戸籍の附票を証明書として提出します。

相続登記は住所変更登記不要

登記簿上の住所と現住所が異なる方が亡くなり相続人が相続登記をする場合は、故人の住所変更登記は不要です。

相続登記は新たに所有者となる相続人が単独で申請するもであり、故人や相続人の戸籍謄本を提出していることもあり、故人の住所変更登記をせずに相続人に相続登記するとことができます。

ただし、申請する際、故人の住所が移転していることを証する書面の提出が必要になります。