遺産分割協議書

故人の遺言書が無い場合、遺産の分割は相続人全員で協議でして決めることになります。

これを「遺産分割協議」といい、協議の内容を記載したものを「遺産分割協議書」と言います。

通常、全部の遺産を対象(不動産、預貯金、有価証券等々)に、その分け方を決めることになりますが、協議がまとまったものだけに関して協議書を作成して想像手続きをすることも可能です。

例えば、遺産の内容が土地、山林、預金、株式で、土地に関して相続は決まったが、残りの分が決まっていないような場合、土地だけの遺産分割協議書を作成して土地の名義を取得する相続人名義に変更することができます。

遺産分割協議で遺産がもれていた

遺産全部を対象に遺産分割協議をした場合、遺産分割協議書にすべての遺産については誰が相続するかを記載します。

誤解や曲解を防ぐために、相続人ごとに取得する遺産の内容を明記します。

不動産であれば登記簿に表示されているとおりに(地目、地積、所在地等)、預金であれば銀行名、支店名、口座番号を記載します。

協議をする際、分割する遺産に漏れがないように注意しなければいけませんが、注意していても遺産に漏れが生じることがあります。

この場合、すでに終了した遺産分割協議はそのままで、漏れた分について新たに協議をすればよいとするか、終了した遺産分割協議はその前提となる遺産の内容が異なっているので無効とする、かの問題が生じます。

遺産分割協議が無効になることも

遺産分割協議の対象となった遺産に漏れが生じている場合、一律的な取り扱いにはなりません。

漏れた遺産が協議する上で価格等の観点から重要なものであり、相続人がその存在を協議の時点で知っていれば遺産分割協議をしなかった等の場合、共同相続人間は公平であるべきとする理念に照らし既に成立している遺産分割協議は無効と判断された事例があります。

この場合、漏れた遺産を含めて再度、全部の遺産について遺産分割協議をすることになります。

ただし、漏れていたとしても既に成立している遺産分割協議を無効にするほどではないと判断されるような場合は、遺産分割協議はそのままで、漏れた遺産のみについて新たに協議をすればよいとされています。

「無効にするほどではない」とするのが、どの程度の額であるかの明確な基準はありません。

遺産の内容や遺産総額に対する割合等々を考慮して、個別的に判断されることになるでしょう。

最後は訴訟で

全部を無効にするにしても、漏れた分だけを対象に新たに遺産分割協議をするにしても、相続人全員が了承の上で行う分には何の問題もありません。

遺産分割協議のなり直しを主張している相続人と既に成立している遺産分割協議はそのままで漏れた分だけを協議すればよいと主張する相続人とで話し合いがつかない場合、裁判所に解決をお願いすることになります。

今ある遺産分割協議は無効なので再度遺産分割をしたい旨の調停を家庭裁判所の申立てることになります。

有効を主張する相手と調停でまとまればよいですが、まとまらない場合は遺産分割協議の無効確認を求める訴訟を提起することになります。

このような争いにならないためにも、遺産分割協議を行う際は、事前に遺産の調査をしっかりやっておくことが大切です。