売り地

ご自分の不動産を売却されるとき、場合によっては売買の前に(又は同時に)不動産に関して登記が必要になることがあります。

よくあるケースとしては、登記簿に記載されている住所と現在の住所が異なる、結婚や養子縁組により登記簿上の名前と現在の名前が異なる、というようなことがあります。

また、既に完済している抵当権の登記が残っていたり、今は完済して利用していない根抵当権が登記されたままになっていることもあります。

珍しいところでは、住宅供給公社等から購入して場合にみられる、公社の買戻特約の登記が残っている場合もあります。

これらの変更、抹消登記申請は住民票や戸籍謄本、金融機関から送られてきた抹消関連書類があればご自身でも登記申請することができますが、売買前に安易にやってしまうと売買による移転登記申請に支障をきたすことがあるので注意が必要です。

移転登記前の変更・抹消登記

先に述べたような場合、売却の際にすべて変更、抹消されていることが求められます。

変更しているにもかかわらず変更登記をせずに変更後の住所や氏名で売買による移転登記申請をすると、法務局では申請者の住所や氏名が登記簿上のそれと異なっているので、登記簿上の人物と同一人であるか分からず、申請は却下されてしまいます。

抵当権や根抵当権、その他(買戻特約等)の登記は、通常、売買前による移転前に抹消することが売買の条件となっているので、抹消しなければいけません。

司法書士が住所等の変更や抵当権の抹消をする場合、売買による移転登記と同時(変更・抹消→移転の申請順になります)に行います。

自分でやるリスク

変更や抹消登記手続きを、ご自身でやることも可能ですし、やられる方もおられます。

ただし、売買による移転登記を担当する司法書士に知らせることなく、事前に申請をすると以下の2つの理由によりトラブルになる可能性があります。

  • 申請をすると、その手続きが完了するまで登記簿が閉鎖されて見れなくなる。
  • 売買当日、司法書士は対象不動産に何らかの変化がないか登記簿を取得して確認する。

売買当日(お金の受け渡し日=決済日)、司法書士は対象不動産に何らかの権利関係の登記がされていないか確認します。

事前に確認していますが、決済日当日も差押えの登記が入っていないか、新たな抵当権が登記されていないか等々を確認します。

しかし、事前に所有者が自身で変更登記や抹消登記申請をしていてその登記がまだ完了していなければ、登記簿は閉鎖されているので司法書士は決済当日に不動産の最新の状況を知ることができません。

これでは、責任をもって移転登記ができないため、最悪の場合は売買を中止しなければいけなくなります。

福岡法務局の場合、現在申請して登記手続きが終了するまで約3~4週間程かかっています。

例えば、売買日(決済日)の1週間前に所有者がご自身で変更登記申請をしてしまうと、それから3~4週間は当該不動産の登記簿は閉鎖されるので登記事項証明書を取得することができなくなります。

ご自身で変更、抹消申請を事前に行う場合は、法務局の手続き完了予定日を確認したうえで、決済予定日にかなり余裕をもって行うことが必要です。

また、そのような申請をしていることを司法書士に知らせておくことも大切です。