農地

故人が農地を所有している場合、当該の農地も当然に相続の対象になります。

農地が所有権移転の対象になる場合、農地法が関係します。

農地法は、農地の名義変更(所有権移転)や農地を農地以外に転用することを制限しており、農業委員会の許可が必要な場合があります。

では、農地を相続人が相続する場合(農地を相続人名義に変更する)、農地法での制限を受けるか?

ここでは、農地に関する相続についてご説明します。

農地の相続登記

結論から言うと、農地の相続に農業委員会の許可は必要ありません。

通常の土地と同様に、遺言書や遺産分割協議に基づいて農地法の制限なしに相続人が相続することができます。

届出は必要

農地を相続することに許可は必要ありませんが、相続したことを農業委員会に届出る義務があります。

「農地法第3条の3の規定による届出書」(各農業員会にあります)を管轄の農業委員会に提出しなければいけません。

義務を怠ると10万円以下の過料に処せられることもあるのでご注意ください。

農地を売る前に所有者が死亡した場合

農地を売却するには農業委員会の許可必要です。

農地所有者が売る手続きをしている際中に亡くなった場合、売主に相続が発生したことになります。

許可書到達前・後に売主死亡

許可書が送られてくる前に売り主が亡くなっても、許可申請の効力は相続人が引き継ぐので死亡後に到達した許可書は有効です。

また、許可書が送られてきた後に売主が亡くなった場合も、許可書は有効です。

ただし、買主に移転登記する前に所有者が死亡して相続が発生しているので、一旦、農地は相続人に名義変更し、その後に買主に所有権移転登記することになります。

所有者が亡くなって相続が発生しているので、相続登記を省略して買主に所有権移転登記を申請することはできません。

※農地が譲渡される場合、誰が、どのように譲渡後の農地を利用するかが重要になるので、買主が亡くなった場合、亡くなったのが許可書到達前・後で手続きが異なります。