不動産(土地や家)を売却する、抵当権を設定するような場合、権利書が必要です。
土地を相続したら、購入したら新たな所有者として権利書が法務局から交付されます。
以前は、紙で登記申請し手続きが終了したら、申請書に「登録済」とスタンプされて申請書が返却され、それを「権利証」としていました。
これを「登記済証」と呼んでいます。
しかし現在は、オンラインによる申請に伴い「登記済証」はなくなり、12桁の符号(数字とアルファベットの組み合わせ)が記載されている(簡単に見えないようになっています)書類(登記識別情報)が交付されます。
売却や抵当権を設定する際は、この書類ではなく12桁の符号を法務局に申告することで所有者としての証の一つとします。
基本的に不動産1個に1個の「登記識別情報」ですが、場合によっては2個、3個存在することがあるので注意が必要です。
登記識別情報
不動産が「共有状態である」「過去共有状態だった」ような場合、複数の「登記済証」や「登記識別情報」が存在する可能性があるので注意が必要になります。
どうして複数になるか
典型的なケースは共有で所持して、その後に単独所有した場合になります。
AB共同で土地を購入、その後にAがBから持ち分を譲受(又は相続)等して単独所有になった場合です。
単独所有者になったAが当該土地を売却する、土地に抵当権を設定する場合、「登記済証」であればAB共同で購入したときの登記済証、AがBから持ち分を取得した際の「登記済証」が必要になります。
これを「登記識別情報」で検討すると、AB共同で購入した際にABそれぞれに登記識別情報が発行されます。
AがBか持ち分を購入した際も、その持ち分に対してAに「登記識別情報」が交付されます。
Aが土地を処分する場合、共同購入したときとBから取得してたきに交付された2種類の登記識別情報が必要になります。
分筆
土地を分筆したときも、「登記済証」「登記識別情報」の数が問題になることがあります。
1つの土地に一つの「登記済証」が発行されている状態で2つの土地に分筆された場合、それぞれの土地に「登記済証」が新たな交付されることはありません。
既存の登記識別情報が分筆された2っの土地の「登記済証」(兼ねる)になります。
1っの土地を処分する時に手元にある「登記済証」を提出し、手続きが終わったら返却してもらって別の分筆した土地を処分するときに再度提出するために大切に保管しておかなければいけません。
合筆
2っ以上の土地が合わさって1っの土地(1筆の土地)になることを合筆と言います。
合筆する前の土地には、それぞれに登記識別情報(又は登記済証)があります。
合筆して1っの土地になると、それに対して新たな登記識別情報が発行されます。
合筆後の土地を処分する場合、新たに発行された登記識別情報を提出します。
ただし、合筆前のそれぞれの土地の登記識別情報全部を提出することもできます。
抵当権が付いている場合の合筆
基本的に何らかの所有権以外の権利が付いている土地は合筆できません。
合筆する土地の一っに抵当権が付いていたり、抵当権が付いている土地どうしを合筆することはできません。
甲土地にA抵当権、乙土地にB抵当権が付いている場合、合筆して一っの土地にしたときのAとBの土地に対する権利関係が複雑になってしまいます。
しかし、同じ抵当権が設定されている場合は、合筆は可能です(できない場合もあり)。
抵当権者は1人なので、合筆後の権利関係の調整も不要です。
甲土地、乙土地ともにA抵当権が設定されている場合、甲乙の合筆は可能です(適応要件はあります)。