相続トラブル

よく相続は争族と言われることがあります。

人が亡くなると、その方が保有していた財産(遺産)をどのように分けるかで相続人間で争いになることがあります。

相続トラブルになる原因はさまざまです。

相続トラブル原因

「相続」が「争族」になってしまうと、仲の良い家族であっても相続後は疎遠、絶縁になってしまうことがあります。

自分達家族は大丈夫、、、と思っていても、各自の環境は時間の経過と共に変化し、特に経済的環境の変化が大きく影響します。
経済的に余裕があれば気にしないことでも、余裕がなければちょっとの違いにも敏感になり、互いにギスギスした関係になってしまうこともあります。

では、どのような事で相続が争族になってしまうのか。

複雑な家族関係

もともと家族関係が良くない、複雑な家族関係であれば、対策をしてないともめる可能性大と言えるでしょう。

以下のような関係は注意が必要です。

  1. 親子関係、兄弟姉妹関係が悪い、疎遠、音信不通である。
  2. 故人が再婚で前婚との間に子がいる。
  3. 再婚で連れ子がいる。
  4. 実子と養子がいる。
  5. 婚外子がいる。
  6. 二次相続が発生している。

仲の良い家族、日頃から交流があって気軽に話しもしていた仲であっても、もめるのが相続。

ましてや、以前から仲が良くない関係、立場的に微妙な関係、であれば、話すこと自体もままならず始めからケンカ腰に、なんてことになりかねません。

上記にあげた家族関係でも良好な関係である場合もあるでしょうが、一般的にはもめるる可能性が高いと言えるでしょう。

中でも以下のケースは注意が必要です。

2の再婚しているケース

前婚と間に子供がいる場合、その子供は法定相続人になります。

通常、故人の財産は一緒に生活している再婚相手が管理しているので、再婚相手としては前婚の子供に遺産を「渡す」という形になり、協議の過程でもめることも珍しくありません。

また、再婚相手に故人との子がいれば、法定相続分は前婚と再婚の子供は同等です。
再婚相手は心情的に自身の子供により多くの遺産を分配したいと思うでしょうから、その点でも紛争になる可能性があります。

3の連れ子がいるケース

2の再婚に関連しますが、互いに子供がいる者同士が再婚した場合、多くは相手側の子供と養子縁組をします。

夫は妻の連れ子を、妻は夫の連れ子を養子とし、これにより全員が法的に親族関係のある家族になります。

この状態で夫が亡くなると、夫の財産(再婚前の財産も含む)は、妻2分の1、夫の実子4分の1、妻の実子4分の1の割合で相続されることになります。

家族関係が長く続いた後の相続であれば問題ないかもしれませんが、再婚して1年未満に不幸にして夫が亡くなってしまうとどうでしょうか。

夫の実子の相続分は4分の1(夫が再婚していなければ全部を相続)となります。

夫の実子の将来を心配、不安に思った夫側の親族との間で争族になる可能性があります。

6の代襲相続が発生しているケース

代襲相続とは、故人が亡くなる以前に故人の子が亡くなっている場合、亡くなった子の子(故人の孫)が故人を相続することになり、そのことを代襲相続と言います。

故人の子が1人であれば、故人の孫のみが相続人になるので問題ありませんが、故人に何人かの子がいる場合、孫は他の故人の子(孫にとっては叔父・叔母)と共同相続人になります。

孫が成人していてそれなりの年齢であれば、叔父、叔母とも話しができるかもしれませんが、未成年であれば親権者である母親が代わりに亡夫の兄弟姉妹と相続協議することになり、争族に発展する可能性があります。

生前中の故人と相続人の関係

生前中の故人と各相続人との関係が、その後の相続でトラブルになることがあります。

「特別受益」「寄与分」「遺留分」の3つの観点で考えていきます。

特別受益

特別受益とは、故人が生前中に特定の相続人に対して特別な利益を与えた(生前贈与)ことを言います。

そして法律は、特別受益に該当する場合、その分を当該相続人の相続分から控除することができるとしています。

分かりやすい事例としては、長男が結婚して家を建てる際、父親から500万円を援助してもらっていた場合、この500万円は特別受益に該当する可能性があります。

該当した場合、長男は相続分から500万円が控除されることになります。

寄与分

寄与分とは、特定の相続人が生前中の故人に対して行った援助のことを言います。

そして法律は、寄与分に該当する場合、当該相続人はその分を他の相続人により多く相続することができるとしています。

例えば、長男が母が住んでいる家を修理するために200万円を援助したような場合、この200万円は寄与分に該当する可能性があります。

該当した場合、長男は他の相続人より200万円多く相続することになります。

遺留分

遺留分とは、相続人である以上、疎遠であろうが、勘当状態あろうが、相続できる最低限の相続分として規定されているものです。

これが問題になるのは、この遺留分を侵害するような遺言書がある場合になります。

勘当状態で何十年も音信不通の子供には、1円たりとも渡さない!と、その旨の遺言書を残していても、当該相続人が遺留分を請求すれば、他の相続人は遺留分相当額を金銭で渡さなければいけません。

問題点

特別受益、寄与分には、明確な基準(それなりの基準はあります)がありません。

また、家族関係、家庭環境、経済状態でも変わってきます。

例えば、特定の相続人に200万円の贈与をした場合、家庭環境、経済状態によっては、その支出は親であれば当然の支出であり扶養の範囲内として特別受益には該当しない、と判断されることもあります。

また、特定の相続人が長期間、自分の時間を犠牲にして故人の看護していた場合、それを費用に換算して寄与分と認められることがありますが、いくらに換算するかでもめて争いになる、ということもあります。

このように、明確な基準がなく、時間的制約もないので、何年、何十年も前のことで争うことになります。

遺留分に関しては、遺留分を請求されたら他の相続人は相当額を金銭で支払わなければいけません。

遺産に相当する金銭があれば良いですが、無ければ遺産(不動産等)を売却して工面しなければならなくなります。

遺産の大部分が不動産

遺産の大部分が不動産の場合、当該不動産の価値をどう評価するかでもめることがあります。

例えば、相続人が2人いて、遺産の殆どが家である場合、売却して金銭に換価すれば相続割合に従っ分割して分配すれば良いですが、1人が家を相続し、その者が他の相続人に家の相続分に相当する金銭を支払うとした場合、家をいくらで評価するかでもめることになります。

家を相続する者はできるだけ家の評価を低くしたいでしょうし、他の相続人は高く評価して相続分を多くしようと考えるでしょう。

これにより、家の評価額をめぐってもめる可能性が高くなります。

上記事例に該当しそうだ、と思われた方は、しっかり相続対策をしましょう。
対策は、適切な遺言書の作成や家族信託、相続時精算課税制度等々が考えられます。
専門家に相談してベストな対策をしておくことが大切です。

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