消費者トラブルにあった場合、クーリングオフができるかどうかでその後の対応が大きく変わります。

クーリングオフが適用できれば、問答無用に契約を解除し支払って代金を全額返金請求できます。

問答無用という意味は、解除になんら理由がいらないということです。

なぜ、こんなことが許されるのか?

それは、クーリングオフの対象になっている販売方法が特殊だからです。

訪問販売、電話勧誘、路上勧誘、人間関係を利用したマルチ・ネットワーク等々、消費者にとって不意打であったり、しがらみであったりと不利な環境で契約を結ばされる可能性が高いので、契約したとしてもクーリングオフ期間内であれば無条件で解約できるようになっています。

クーリングオフと法定書面

特商法(特定商取引法)には次の6っの販売形態が規定されており、これらに該当する取引にはクーリングオフが適用されることになります。

  1. 訪問販売
  2. 電話勧誘販売
  3. 連鎖販売取引
  4. 業務提供誘因販売取引
  5. 特定継続的役務提供
  6. 訪問購入

クーリングオフができる期間には制限があり、「法定書面」を受けとった日から8日間(3,4に関しては20日間)になります。

このように、いつ「法定書面」を受け取ったかが重要になります。

法定書面

クーリングオフの期間を計算するのに「法定書面」を受け取った日が重要になりますが、「法定書面」に関しては受領日以外にも重要なポイントがあります。

事業者は、以下の事項を記載した書面(法定書面)を契約の申込みを受けたとき又は契約を締結したときに消費者に渡さなければなりません。

  • 商品(権利、役務)の種類
  • 販売価格(役務の対価)
  • 代金(対価)の支払時期、方法
  • 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
  • 契約の申込みの撤回(契約の解除)に関する事項(クーリング・オフができない部分的適用除外がある場合はその旨含む。)
  • 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
  • 契約の申込み又は締結を担当した者の氏名
  • 契約の申込み又は締結の年月日
  • 商品名及び商品の商標又は製造業者名
  • 商品の型式
  • 商品の数量
  • 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
  • 契約の解除に関する定めがあるときには、その内容
  • そのほか特約があるときには、その内容

また、消費者への注意事項として、書面をよく読むべきことを、赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。

クーリング・オフの事項については、赤枠の中に赤字で記載されていなければいけません。

さらに、書面の字及び数字の大きさは8ポイント以上が必要です。

法定書面に不備があれば

クーリングオフの起算日になる法定書面の受領とは、「不備のない法定書面」の受領を意味します。

つまり、上記に示した記載事項や形式に違反している書面は「法定書面」とはならず、法定書面を受領していないのでクーリングオフができる期間が開始していないことになります。

よって、不備のある契約書を受け取って8日(または20日)経過していても、クーリングオフは可能になります。

消費者トラブルに慣れているような業者は、注意して契約書を作成していますが、まだまだ法定書面の書式に従っていない契約書面も多いので、期間が過ぎている場合は契約書を確認しましょう。