つながらない戸籍、住所の対処方法

故人の不動産を相続人に名義変更(相続登記)する場合、故人や相続人の戸籍や住民票等の書類が必要になります。

とくに故人の戸籍謄本(除籍・改製原戸籍謄本)や住民票は、今現在を記録したものだけでなく、過去からのつながりが重要になります。

戸籍がつながらない場合

相続手続きには、故人の生まれてから亡くなるまでの全部の戸籍は必要になるので、除籍謄本を見て過去の戸籍を追っていくことになります。
戸籍謄本に記載されている編纂された日や「○○より入籍」「〇〇から転籍」等々をチェックし、編纂前、入籍・転籍前の〇〇にある戸籍謄本を収集します。

収集後、各謄本が証明する期間を確認し、生まれてから亡くなるまでの間に空白期間がないか(つながっているか)確認します。
途中で空白期間があれば、単なる収集モレなので漏れている分を取得することになりますが、ご高齢で亡くなられた方の場合、生まれたときの戸籍謄本が廃棄されていたり、戦争や震災で消失していて取得できないケースがあります。

とくに、ご高齢の方が亡くなり兄弟姉妹が相続人になる場合、亡くなった方の親の戸籍、しかも生まれてからの戸籍が必要(相続人となっている兄弟姉妹以外に子供がいないかを確認するため)になるので生まれた時の戸籍が取得できないケースがあります。

戸籍が途切れた場合、途切れる直前の戸籍が何歳からの故人の戸籍を記録しているかを確認します。
生まれてからの戸籍を調査する意味は、相続人となる子供の有無の確認なので、5歳や6歳からの戸籍があれば問題ありません(生殖機能の観点)。

では、何歳までの戸籍があれば良いかというと、明確な基準はなく一般的には12歳位からの戸籍があれば良いと言われていますが、法務局に確認しておくのが良いでしょう。

戸籍がつながらない場合の対処

戸籍が廃棄、消失していて相続登記申請の際に法務局に戸籍が提出できない場合、取得できた戸籍と除籍等の謄本を交付することができない旨の市町村長の証明書(廃棄証明書等)を提出すれば良いことになっています(法務局によっては被相続人の不在籍証明・不在住証明の提出を求められる場合があります)。
※以前は、廃棄証明書及び相続人全員による他に相続人はいないことを証する書面が必要でしたが、現在は廃棄証明書だけで良いことになりました。

住所がつながらない

故人の最後の住所地と登記簿上の住所地が異なる場合、登記簿上の住所地から最後の住所地へ移転した流れを証明しなければいけません。

最後の住所がB地で登記簿上の住所がA地であれば、A→Bと移転した記録が必要になります。
1回の移転であれば、B地の住民票にA地から移転したことが記録されているのでB地の住民票の除票を提出するだけでよいのですが、2回以上移転していると戸籍の附票が必要になります。

戸籍の附票にはその人の過去の住所地の変遷が全て記録されていますので、A→B→C→Dと移転していても戸籍の附票でつながりを証明することができます。
実際には、除籍や改正原戸籍の附票を取得することになります。

しかし、この戸籍の附票には保管期間があります。
戸籍の附票の保管期間について令和元年に法律が改正され150年間保管することになりましたが、それ以前の保管期間は5年間でした。

例えば、登記簿上の住所地Aから別の地域Bへ移転し、その後、最後の住所地Cに移転している場合でAからBへの移転が10年前であれば、記録は保管期間経過により廃棄されて取得することができないことになります。
この場合、A地からB地への移転が証明できないので、結果、A地からC地への移転がつながらないことになります。※5年を超えて保管されているケースもあるので市町村に問合せ下さい。

住所がつながらない場合の対処

相続登記申請で戸籍の附票が廃棄されていて故人の最後の住所地と登記簿上の住所地がつながらない場合、以下の2つの方法で対処します。

  1. 登記済証(権利証)を添付する。
  2. 相続人全員による上申書を添付する。

現在は、新たに不動産の所有者になると法務局から登記識別情報という書面が交付され、そこに記載されているアラビア数字等による12桁の符号を保有していることが所有の証明になっています。
登記識別情報制度開始後に所有権を取得した方にはこの登記識別情報が交付されていますが、開始前に所有者になっている方は一般的に権利証と言われる登記済証が交付されていました(権利変更の申請書に「登記済」の印が押印されている)。

住所のつながりは、最後の住所地A地で亡くなった甲さんが登記簿上の住所地B地の甲さんと同一人物であることの証明(同一性の証明)です。
そこで、つながりが証明できない場合は、替わりに所有者であれば保有している登記済証を提出することで甲さんが登記簿の不動産の所有者であることを証明します。

ただ、通常、登記済証はご本人(故人)が保管されているでしょうからどこにあるか分からなかったり、昔から所有していて登記済証を紛失、消失していることもあります。
その場合、最後の手段として相続人全員で上申書を作成して提出します。

上申書には、戸籍の附票では住所がつながらないこと、登記済証もないこと、登記簿上の所有権登記名義人と亡くなった被相続人が同一人物であることに間違いなこと、本相続登記申請を受理して欲しい旨を上申書にまとめて申請書と共に提出します。

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