死因贈与契約とは、自分が死んだことを原因(不確定期限)として遺産を贈与する約することです。

遺言書でも贈与ができますが(遺贈)、遺言書は作成の意思のみ(単独行為)で受け取る側の意思は必要ありません。

対して、死因贈与契約は契約なので贈与する側と受ける側の合意が必要になります。

死因贈与契約

民法には死因贈与契約に関する条文があり、554条に「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と規定されています。

条文にあるように基本的に遺贈と同じになりますが、異なる点もあります。

遺贈と違う点

年齢

死因贈与契約は、「契約」になるので贈与する側も受ける側も成人(18歳以上)である必要があります。

一方、遺贈は契約ではなく遺言書なるので、民法961条に規定されているように15歳以上であれば行うことができます。

放棄と撤回

遺贈に関しては、贈与側の一方的な行為(単独行為)によるものなので、贈与者は自由に撤回でき、受ける側も放棄することができます。

ただし、包括遺贈であれば受遺者となったことを知ってから3か月以内に放棄しなければいけないので注意が必要です。

では、当事者間で合意の上で契約している死因贈与契約において、贈与者の意思のみで撤回できるか、贈与者が死亡した後で受ける側が放棄できるかが問題になります。

先に述べたように、基本的に死因贈与は遺贈の規定を準用するので、贈与者はいつでも単独で撤回できることになります。

また、贈与者が死因贈与契約の内容に反するような遺贈や生前処分をしたら、死因贈与契約は撤回されたものとみなされます。

ただし、受贈者側に負担がある死因贈与契約において、受贈者側が既に負担を履行している場合は贈与者側の一方的な意思では撤回できません。