相続放棄しても実家を管理しなくてはいけない?
相続放棄をすれば、基本的に遺産を相続することもないし関係もなくなります。
ただし、実家のような不動産は、状況によっては相続放棄後も関係を切れない、管理をしなければいけない場合があるので安心できません。
ここでは、相続放棄と不動産の管理責任について解説します。
相続放棄すれば古い実家の管理責任がなくなる?
遺産の中に不動産がある場合、相続放棄をしても不動産の管理責任を問われる場合があります。
これは相続財産が管理不全のまま放置されるおそれがあるので、相続放棄をした者に対しても一定の管理義務を定めていました。
その後、民法が一部改正され、相続放棄をした者の遺産に対する管理責任の内容も変更されました。
相続放棄者の管理責任
改正前の民法には「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と規定されていました。
相続放棄をしても、次の相続人(次順位相続人)が遺産の管理を始めるまで、自分の財産を管理するのと同程度に管理を継続することになっていました。
条文にある「放棄によって相続人になった者」とは、放棄により新たに相続人になった者と解されています。
新たな相続人がいない間に不動産(古い家屋等)が原因で第三者に被害が生じた場合、その責任はどうなるか。
新たな相続人が管理を始めるまで管理を継続しなければならないと条文に明記されている以上、土地工作物責任(無過失)等を問われるおそれがあります。
管理責任の問題点
相続人全員が相続放棄したらどうなるか。
新たな相続人がいなくなります。
その場合、実務的には「相続財産管理人が選任されるまで」と解されていますが、条文では明確になっていません。
また、相続時において、相続人が故人の遺産の内容を全部把握しているわけではありません。
相続人が知らない不動産があれば、管理のしようもありません。
改正前は、不動産の存在の知、不知にかかわりなく管理責任が生じることになります。
そこで、令和5年4月1日からスタートした改正法では、この点が変更されました。
改正法における相続放棄者の管理責任
改正法では、相続放棄者の管理責任を「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」としました。
まず、相続人全員が相続放棄した場合、新たに設けられた「相続財産の清算人」に相続財産を引き渡すまで管理責任を負うことが明記されました。
そして、管理責任を負う対象は、「現に占有」している相続財産に限定されたので、占有していない財産、存在を知らない財産は管理責任の範囲から明確に除外されることになります。
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