相続登記申請に必要な書類
相続登記申請に以下のような書類が必要になります(申請形態によって必要な書類は異なるので、以下の書類全部が必要なわけではありません)。
- 登記申請書(規定に従って記載する必要あり)
- 故人(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
- 故人の住民票の除票の写し(又は戸籍の附表)
住民票の場合は、本籍地が記載されたものが必要です。 - 相続人の戸籍謄本
- 相続する方の住民票
- 固定資産評価額
- 遺言書(ある場合)
- 遺産分割協議書(遺言書がない場合)+印鑑証明書
- 委任状(司法書士に依頼する場合)等々
故人の除籍・改製原戸籍
相続登記申請をする際、故人の(被相続人)の生まれて(生まれたときの戸籍が廃棄等でないときは、12,3歳位からの戸籍)から亡くなるまでの戸籍が必要になります。
これらの戸籍が必要なのは、故人の相続人となる子供の存在を確認するためです。
役所でもらう現在の戸籍謄本に、生まれてからの記録が全て記載されているわけではありません。
過去、数回にわたって戸籍の形式(記載方法)が改製(改訂)されています。
改製毎に新しい戸籍が写しかえられる(移記)のですが、その時、全ての内容が新しい戸籍に移記されるわけではありません。
移記する時点で既に婚姻や死亡等によって戸籍から抜けている人や、離婚、養子、離縁、認知などの記録は新しい戸籍に移記されません。
例えば、Aが婚外子としてBを認知すれば、Aの戸籍にその事実が記載されますが、その後、戸籍が改製された場合、認知した事実は改製後の新しい戸籍に記載されません。
※認知された方の子の戸籍には、改製後も認知の事実は移記されます。
つまり、改製後のAの戸籍だけでは、Aの相続人である認知したBの存在を知ることはできません。
故人に離婚歴や前妻・夫との間に子どもがいたりする場合も同じように移記されません。
新しい戸籍に前の記録が記録されないケースは改製だけでなく、故人が転籍している場合も同様です。
本籍は比較的簡単に変えることができ、転籍先で新たに作成された戸籍には離婚等は記載されません。
このため、改製前の戸籍も遡って収集して相続人の有無を調べることになります。
改製前の戸籍を「改製原戸籍(カイセイハラコセキ)」と言い、役所に保管されているので取り寄せることになります。
転籍の場合は、転籍前の本籍地の役所から取り寄せます。
戸籍のつながり
生まれてからの戸籍を収集する場合に重要なのが、戸籍がつながっているかを確認することとです。
収集した戸籍には、その戸籍がいつ作成されたかを示す年月日が記載されていて、その年月日からの記録が記載されていることを示しています。
例えば、故人の除籍謄本(最新の戸籍)を取り寄せると、「改製日 〇年〇月〇日」と記載されています。
これは、〇年〇月〇日から亡くなるまでの記録を表示していますという意味になり、〇年〇月〇日以前のことは記録されていないことになるので、その分の戸籍(改製原戸籍)を取り寄せることになります。
このように戸籍を見ながら過去の戸籍を集めていくのですが、婚姻、離婚、養子縁組、転籍等をしていて戸籍が移動している場合、全ての移動を追ってとぎれなく戸籍を集めるには戸籍を読み解くことが必要で、慣れていない方がやるとモレが生じることがあります。
相続登記で法務局に故人の生まれてからの戸籍の全部を提出しなければいけませんが、モレがあると法務局より提出を求められることになるので注意が必要です。
故人の住民票の除票(又は戸籍の付票)
登記簿には故人(所有者)の住所と氏名しか記録されていません。
相続登記には故人の戸籍(生まれてから亡くなるまでの戸籍)が必要ですが、戸籍には住所が記載されていません。
よって、同姓同名の存在の可能性を考慮すれば、故人の戸籍だけではその戸籍の人物と登記簿上の人物が同一人物であると判断できません。
そこで、故人の本籍地が記載されている住民票の除票(又は戸籍の付票)を提出させ、住民票に記載されている本籍地と故人の戸籍の本籍地が一致することで同一人物である判断します。
ただし、住民票の除票や戸籍の付票が廃棄されている場合(令和元年以前の保管期間は5年)は、権利証(登記済証)があればそれを同一証明とすることができます。
また、住民票は除票である必要はなく、昔の住民票であっても登記簿上の住所と戸籍と同じ本籍地が記載されているものであれば利用することができます。
※登記簿上の住所が戸籍の本籍地と同一であれば、住民票は不要です。
住所のつながり
亡くなった方の住所地(住民票除票上の住所地=最後の住所地)が登記簿に記載されている住所地と同じであれば、住民票の人物と登記簿上の人物が同一人物であると判断されます。
住所地が一致していれば問題ないのですが、不動産を取得し所有者登記をした後に他所へ移転し、住民票は移したが登記簿上の住所は変更しないまま亡くなると、住所が一致しないことになります。
亡くなったAさんの最後の住所地が甲地、Aさん名義の土地の登記簿上のAさんの住所地が乙市になっていると、住所が一致しないということになります。
しかし、Aさんが乙地から甲地に移転したのであれば、甲地の住民票の写しで大丈夫です。
甲地の住民票には、前住所として乙地の住所が記載されているので、登記簿上の乙地のAさんと住民票上の甲地のAさんが同一人物であることが分かります。
問題は2回以上移転している場合です。
上記の例でいえば、甲地から乙地へ、そして丙地へ移転していると、Aさんの最後の住所地は丙地、住民票に記載されている前住所は乙地となり、登記簿上の甲地とはつながりなくなるので、甲地のAさんと丙地のAさんが同一人物なのか分かりません。
この場合、Aさんが甲地から乙地、そして丙地と移転したことを連続的に証明する書類が必要になります。
これを証明するものが戸籍の附票になります。
戸籍の附票には過去の住所が全て記録されていますので、これを見ればAさんが甲地から乙地、そして丙地へ住所がつながり同一人物であることが証明されます。
保管期間の経過や消失等で必要な書類が取得できず戸籍や住所がつながらないケースがあります。
その場合の対処方法はこちらを参照ください。
固定資産評価証明書
不動産には固定資産税を算出するための評価額が設定されています。
所有者に対しては毎年4、5月くらいに役所から送られてくる「固定資産税納税通知書」に評価額が記載されています。
通知書の形式は役所によって異なりますが、封筒サイズの横長の紙で送付されます。
福岡市であれば、「令和〇年度 固定資産税・都市計画税の納税通知書」と記載されています。
北九州市は、「令和〇年度 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)納税通知書」となっています。
通知書の明細書欄に個々の不動産が土地・家屋別に記載されていますが、その欄の「評価額」や「価格」として記載されているのが固定資産評価額になります。
当年4月1日から翌年の3月31日までの期間に適用される評価額を表示しています。
「令和4年度 固定資産税・都市計画税の納税通知書」に記載されている評価額は、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に手続きされる相続登記に適用されます。
相続登記での登録免許税は、記載されている固定資産評価額の4/1000の額になります。
※評価額が100万円以下の土地には登録免許税が免除されます。
税額の算出根拠として、申請書と共に固定資産評価額を提出しなければいけませんが、通常、この固定資産税納税通知書をコピーして提出します。
この通知書を紛失している場合、故人の名寄帳や固定資産評価証明書を役所から入手して提出します。
※固定資産税納税通知書は納税のためのものなので、固定資産税がかからない不動産は表示されていないことがあり、相続登記による名義変更から漏れてしまうおそれがあります。
また、固定資産税が課税されていなくても、名義変更には登録免許税が必要です。
通知書に記載されている以外に故人名義の不動産がないか確認するには名寄帳を取得するのが良いでしょう。
不動産や銀行口座の解約等の相続手続きには、故人と相続人の戸籍謄抄本の原本が必要です。
しかし、法定相続情報証明制度を利用して法務局から法定相続情報一覧図を交付してもらえば、複数枚の戸籍謄抄本の替わりに当該一覧図だけを提出するだけで済みます。
申請費用も交付も無料ですので、ご利用をご検討下さい。
初回のご相談は無料です。
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TEL 092-707-0282
電話予約 9:00~20:00(平日・土)