法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度という新たな制度が2017年から始まりました。
不動産や銀行預金等の各種相続財産を引き継ぐ際に必要とされる書類を軽減してくれる制度です。

相続手続きには、必ず戸籍謄本が必要になります。
故人の除籍謄本、相続人の戸籍謄本を各機関(法務局や金融機関等)に提出して手続きを行います。

とくに、故人の謄本に関しては生まれてから亡くなるまでの戸籍(改製原戸籍)が必要になるので、ご高齢の方や転籍を複数回している方の謄本数は多くなります。

相続手続きには謄本の原本を提出しなくてはいけないので各謄本を1通ずつ取得している場合は、相続手続きを同時に行うことができず、一つのて手続きに謄本原本を提出して終了時に返却してもらい、次の手続をすることになります。

例えば、A管轄の不動産の相続登記→B管轄の不動産の相続登記→A銀行口座解約→B銀行口座解約→C銀行の口座解約のように、順々に行うことになるので時間も手間もかかってしまいます。

手続きの数だけ同じ謄本を複数枚取得すれば同時に手続きを行うことも出来ますが、除籍謄本・改製原戸籍謄本は750円/通、戸籍謄本は450円/通かかるので、管轄の違う不動産があったり、複数の金融機関に口座を持っていると、謄本の取得費用も高額になってしまいます。

このような場合、法定相続情報証明制度を利用すると便利です。
所定の申出書と必要書類を法務局に提出すると「被相続人〇〇法定相続情報」と題する書面を発行してくれます。

この書面には、被相続人〇〇(亡くなられた方)の相続関係、相続人が表示されており、これにより故人〇〇さんの相続人が法務局に認証されたことになります。
法務局のいわばお墨付きになるので、各相続手続きは戸籍謄本ではなく、この書類1枚を提出するだけとなります。

しかも、申請、交付に費用はかかりません。無料で対応してくれます(申請に必要な書類(戸籍等)の取得費用は必要です)。
必要な手続の数を交付してもらうことで、各種手続きを同時に行うことができます。

手続

管轄の法務局に所定の申出書と必要書類を提出して交付を受けます。
提出先は、以下のいずれかの法務局になります。

  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

手順1.必要書類の収集

申出書を作成する前に、まず、作成、提出に必要な書類を収集します。

必要書類

  1. 故人の除籍・改製原戸籍謄本(生まれてから亡くなるまでの謄本)
  2. 故人の住民票の除票
  3. 相続人全員の戸籍謄本(又は抄本)(※1)
  4. 申出人の本人確認証明書(免許証等)のコピー

ケースによって必要になる書類

  • (法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合)
    各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
  • 代理人が申出をする場合は委任状と
    代理人が親族であれば、申出人と代理人の親族関係が分かる戸籍謄本(必要書類1又は3で親族関係が分かれば不要)
    代理人が資格者代理人であれば、資格者代理人団体所定の身分証明書の写し
  • 必要書類2が取得できない場合は、故人の戸籍の附票

※1:故人が亡くなった日以降に取得したもの。

手順2.法定相続情報一覧図の作成

法定相続情報一覧図とは、故人と相続人の関係図です。

書き方は決まっており、以下のように作成します(法務局HPから抜粋)。

相続情報一覧図

手順3.申出書の作成

申出書は法務局にありますが、法務局のHPからも取得できます(こちらから取得)。

申出書に故人(被相続人)の名前や生年月日、死亡日、本籍地等々を記入します。
記入例はこちらから参照(法務局HP)できます。

手順4.提出・交付

申出書、提出書類が揃ったら法務局に提出します。
法定相続情報交付(複数枚可、再交付可)にあたり、手数料、費用はかかりません。

提出から1週間前後で法務局によって認証された法定相続情報一覧図の写しが交付されます。
返信用の封筒と切手を準備しておけば、窓口行くことなく郵送で受け取ることができます。

手順5.各種相続手続き

不動産の相続登記、銀行の口座解約等の相続手続きを行います。

手続きに必要な故人及び相続人の戸籍謄抄本(戸籍の束)の替わりに法務局発行の法定相続情報一覧図の写しを提出します。

戸籍謄抄本の収集及び法定相続関係一覧図の申出手続きは、当事務所にご依頼することも可能です。
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