役員等の変更について

株式会社には役員が必ず存在します。
会社法では、(代表)取締役、監査役、会計参与が役員とされ、役員”等”になると執行役、会計監査人が加わります。

各役職は登記事項なので、役職に就いたり辞めたりすると登記しなければいけません。
役員に変更があった場合は、変更が生じた時から2週間以内に登記申請することが法律で規定されています。

怠ると100万円以下の過料と最高額がかなり高額な過料に処せられるおそれがあります。

役員等の変更原因

役員(等)は以下の様な理由で就任、退任します。

  1. 新たな人が選任された。
  2. 同じ人が選任された。
  3. 任期満了で退任した。
  4. 辞任した。
  5. 死亡した。
  6. 解任された。
  7. 役員の欠格事由に該当して退任した。
  8. 後見開始、破産開始決定で退任した。

上記の事由が生じたら、2週間以内に当該役員に関して登記申請が必要になります。

任期の計算

取締役に関して会社法は「取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。」と規定しています。
ただし、非公開会社であれば選任後2年以内が、選任後10年以内に伸長します。
監査役は選任後4年以内、非公開会社であれば取締役と同様に選任後10年以内になります。

任期の計算をするには起算日が重要になります。
任期期間は選任された日の「翌日」から計算されます(初日不算入)。

例えば、令和4年5月1日に取締役(2年任期)に選任されたら、任期は5月2日から始まり2年経過した2年後の令和6年5月1日までが任期期間になります。
任期が満了する日は、この任期期間と会社の事業年度が関係してきます。

任期期間中に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終了時までが任期と規定されています。
「定時」株主総会とは、事業年度が終了した後に当該年度の決算報告等を行う総会です。

事業年度が4月1日から3月31日の会社で取締役の任期期間が令和6年5月1日までであれば、任期期間中に終了する事業年度の最終は令和5年4月1日から令和6年3月31日の年度になり、この年度に対する定時株主総会の開催日が任期満了日となります。

定時株主総会は、事業年度終了後3ヶ月以内に開催することが会社法で規定されているので、例えば、2ヶ月後の令和6年5月31日に開催されれば、その総会終了と同時に任期が満了します。
※選任から2年の計算上の任期期間である5月1日は経過することになりますが問題ありません。

通常、計算上の任期満了日は事業年度途中になるので、実際の任期は前年の事業年度終了後に行われる定時株主総会終了日までとなります。

任期満了による退任の例外1

上記のように任期は選任された日を起算点として計算されますが、以下のような変更等が行われるとその効力が生じたときに自動的に取締役・監査役の任期は満了となり退任することになります。

  1. 監査等委員会又は委員会設置会社に変更
  2. 監査等委員会又は委員会設置会社を廃止
  3. 非公開会社から公開会社に変更(監査等委員会又は委員会設置会社になる場合は除く)
  4. 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定めを廃止(監査役のみ適用)

1,2の行為は、かなり大きな会社で行われることが多いですが、3,4については、中小企業でも行われます。
株式を公開して広く出資を募ったり、監査役の権限を強化するために行ったりします。

上記の行為が行われると、効力発生日に自動的に取締役、監査役は任期満了として退任するので、その旨の登記が必要になります。

任期満了による退任の例外2

会社の事業年度を変更する場合も役員の任期がかかわってきます。

事業年度が途中で変更された場合、変更後の事業年度をベースに任期の計算をすることになります。
「任期は終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結まで」とする規定はそのままなので、変更後の事業年度をベースに役員の任期期間と最終の事業年度に関する定時株主総会開催日を確認します。

事業年度が4月1日から3月31日で令和4年5月1日に選任された取締役(2年任期)の任期は、令和6年3月31日の事業年度終了後に行われる定時株主総会の終結時ですが、この会社が令和5年7月1日に事業年度を8月1日から7月31日の期間に変更したらどうなるか。

この場合、令和5年7月31日が事業年度最終日になるので、令和5年の事業年度は4月1日から同年7月31日までの4ヶ月となります(※1)。
事業年度で分けると、(1)令和4年4月1日から令和5年3月31日、(2)令和5年4月1日から令和5年7月31日、(3)令和5年8月1日から令和6年7月31日となります。

そして、この変更後の事業年度と取締役の任期期間を照らします。
選任から2年の計算上の任期期間は令和6年5月1日までなので、(3)の事業年度の途中に計算上の任期が切れてしまうことになります。
任期期間内に終了する最終の事業年度は(2)になり、(2)に対する定時株主総会が終結した時に任期満了で退任となります。

※1:会社法上、最初の事業年度は最長1年6ヶ月まで設定可能とされているので、変更後の最初の事業年度を令和5年4月1日から令和6年7月31日までとすることもできます(税法上は最長は1年なので注意)。

任期満了による退任の例外3

取締役と監査役には「権利義務」規定があります。
取締役や監査役を退任しているのに、その役職としての「権利義務」が引き続き課せられる場合があります。

任期満了又は辞任により取締役や監査役を退任する場合で後任が必要なのに選任されていないときは、退任した後も取締役や監査役としての「権利義務」が生じます。

後任が必要な場合とは、定款で取締役の員数を3人と規定されていて、3人の内1人の取締役が任期満了や辞任により退任したが後任の取締役が選任されていないようなケースです。
その取締役は「権利義務」取締役として責任を負うことになります。
監査役設置会社で1人しかいない監査役が任期満了や辞任したのに後任の監査役が選任されていない場合も同様です。
「権利義務」状態は、後任が選任されるまで継続します。

※5月1日に開催された定時株主総会で取締役任期満了となったが後任が選任されずに権利義務となり、同年7月1日に後任として新たな取締役が選任された場合、選任された日に権利義務状態が解消されます。この場合の取締役退任日は、元々の任期満了日である5月1日になります。

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