婚外子の相続

結婚していない男女の間で産まれた子供のことを「婚外子」と言います。
結婚している男性が妻以外の女性と子供をもうけた場合、家族にその事実を隠していることが多いことから「隠し子」とも呼ばれます。

再婚であれば、前妻との間に子供がいるかどうかは再婚相手は関心を持つでしょうが、初婚の場合、通常、初婚相手に子供がいることは想像しないでしょう。
しかし、亡くなって相続のため戸籍を調査したら、結婚前に認知していた子がいることが分かった、というような事もあります。

婚外子は男性だけの問題ではありません。
女性も同様です。
女性の場合、分娩の事実で法的親子関係が成立するので認知は必要ありません。
母が亡くなった後の戸籍調査で、父との結婚前に子供を産んでいて養子(※1)に出されていた等の事実が発覚することもあります。

このように、故人が亡くなって初めて「婚外子」の存在を知ることになった場合、問題になるのが相続です。
婚外子・隠し子(故人が男性の場合は認知されていることが前提)を無視して相続手続きを進めることはできません。

※1:養子の形態が特別養子縁組であれば、実親との親子関係が消滅するので実子であっても相続人になりません。

相続割合

認知されている婚外子・隠し子は法定相続人です。
故人(夫)が結婚していない相手ともうけた子供を「非嫡出子」と言います。
結婚している夫婦間でもうけた子供は「嫡出子」と言います(夫が前婚でもうけていた子供は離婚後も嫡出子です)。

呼び方は異なりますが、相続について違いはありません。
嫡出子も非嫡出子も同等の相続権を取得します。

例えば、相続人が妻、子2人のケースで婚外子が1人いる場合、相続割合は妻2分の1、子2人と婚外子は平等に各6分の1となります。

対策

遺言書が無ければ、残された家族(婚姻家族)は突然現れた婚外子・隠し子と遺産分割協議をして分割方法を決めなくてはいけなくなります。

婚姻家族にとっても、婚外子にとっても精神的に大きな負担になるでしょうし、穏やかに話し合うというのも難しいでしょう。
直接的な接触を避けるために弁護士を代理人とすることもできますが、それなりの費用がかかってしまいます。

対策としては遺言書が有効です。
遺言書があれば、その内容に従って遺産を分割するだけなので婚姻家族と婚外子が協議することを回避(※2)できます。

また、遺言書の内容を実行する遺言執行者を第三者に指定(信頼できる知人、弁護士や司法書士等)してれば、婚外子に遺産を分ける場合でも遺言執行者が全てやってくれるので、婚姻家族と婚外子が接触することなく相続手続きを完了することができます。

他の対策としては、
・生前贈与
・家族信託
か考えられます。

いずれも個人の財産を遺産から切り離すことで相続争いをしないようにする方法です。
ただし、生前贈与には贈与税が関係しますし、相続人に対する生前贈与は特別受益として相続問題になる可能性もあります。

家族信託は契約行為になるので、手続きも複雑で費用もかかるので、遺言書作成のように簡単ではありません。

※2:各相続人の遺留分に注意して遺産の分配方法を決める必要があります。

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