相続・相続登記Q&A

相続登記はしなければいけないのか?
現時点(令和4年)、相続登記には法律上の義務はなく、いつまでにしなければいけないとうい期限もありません。
しかし、長期間放置しているといろいろな不都合が生じるおそれがあります。
相続人が増えてしまう。
相続人がA、Bの2人、すぐに遺産分けの話し合い(遺産分割協議)をすれば、当事者は2人だけで済みます。しかし、長期間放置している間にA、Bが亡くなると、話し合いの当事者はA、Bそれぞれの配偶者と子供たち全員になります。人が多くなれば、全員の意見をまとめるのも大変になります。
相続人の中に認知症の方や所在不明者が出てしまうと手続きが複雑に。
時間の経過とともに相続人の中で認知症を発症される方や所在が不明になる方が出てくるおそれがあります。遺産分割協議はこれらの方を無視して行う事はできません。家庭裁判所に後見人や不在者財産管理人の選任をお願いして遺産分割協議を行うことになり、費用も時間もかかってしまうことになります。
不動産を売却できない。
故人名義のままでは売却することはできません。事前に相続登記をすることが必要です。しかし、長期間放置されている不動産の相続登記にはかなりの時間を要することが多く、買い手が見つかってもすぐにうることができず、最悪、自己を逸するおそれもあります。
お金を借りる(融資を受ける)ために担保に入れる(抵当権を設定する)ことができない。
売却と同様、不動産を担保に入れるためには相続登記をしなければいけません。
令和6年4月1日より法律が改正されて相続登記は法律で義務となります。
対象になるのは、改正後に生じる相続登記だけでなく改正前に生じている相続登記も含まれます。つまり、全ての不動産に対して相続登記をすることが法律上要求されます。違反した場合、10万円以下の過料に処せられます。
今は違法ではありませんが、いずれ(改正後)は違法状態になるので、お早めに相続登記をすることをおススメします。
相続登記に期間制限はありますか?
一定の期間内に相続登記をしなければいけないという規定はありません。ただし、自分に相続があったことを知ってから3ヶ月以内に相続放棄か限定承認をしないと相続したものとみなされます。
誰が相続人になるのですか?
配偶者(妻又は夫)は常に相続人になります(内縁関係は不可)。相続人になる順番があり、1番が子供、2番が親、3番が兄弟姉妹となります。先順位の相続人がいないか、全員相続放棄したら次の順位の者が相続人になります。よく勘違いされるケースとして、子供がいない夫婦で夫が亡くなったら妻が全部遺産を相続できると思われている方がおられますが、夫の親が健在であれば親が、親がいなくて兄弟姉妹がいれば兄弟姉妹が、妻と共に亡夫の相続人となります。
各相続人の相続割合は決められているのですか?
民法で各相続人の法定相続割合というものが規定されています。相続人の構成で変わりますが、配偶者と子供達⇒各2分の1、配偶者と親⇒2/3・1/3、配偶者と兄弟姉妹⇒3/4・1/4となります。ただし、この割合で分けなければいけないということではありません。全員の合意があれば自由に分けることができます(誰か1人が全部を相続することも可)。
遺産分割はどのように決めるの?
遺言書がある場合は、形式に問題なければ遺言書の内容通りに分けることになります。ただし、相続人全員が同意するなら内容と異なる分け方も可能です。
遺言書が故人が書かかれたもの(自筆証書遺言)であれば、家庭裁判所で検認手続きが必要ですが、公証人によるもの(公正証書遺言)であれば不要です。
遺言書がない場合は、相続人全員で話し合って(遺産分割協議)分配方法を決めます。民法に規定されている法定相続割合を基準に相続人間で自由に決めることができます。1人でも相続人を欠いている遺産分割協議は無効となるのでご注意下さい。
※当事者間で話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをして解決を図ります。
相続登記の費用はどのくらいかかる?
必ずかかる費用として、
登録免許税、戸籍謄本・住民票等の役所書類の取得費用があります。
登録免許税は「固定資産評価額」の0.4%です。
役所書類取得費用は種類で異なりますが、300~750円/通です。
登記申請を司法書士にご依頼された場合、上記に司法書士報酬が加わります。
当事務所の費用はこちらを参照下さい
相続登記に必要が書類は?
登記申請書(決められた書式に従って作成)、故人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、不動産を相続する方の住民票、遺言書又は遺産分割協議書(印鑑証明書付)、固定資産評価証明書、相続財産関係説明図(戸籍謄本を返却して欲しい場合)が必要です。
また、ケースによっては更に書類が必要になることがあります。
司法書士に渡した戸籍謄本等の書類は返してもらえますか?
相続登記で司法書士がご依頼人から預かった書類(戸籍謄本、遺言書、印鑑証明書、固定資産評価証明書等)は、登記手続き完了後、新たな名義人にとなる方に交付される登記識別情報(権利証)と共にご返却いたします。
他県に故人名義の土地があるが依頼できますか?
大丈夫です。福岡市にある司法書士事務所ですが、全国の不動産の相続登記手続きが可能です。お気軽にご相談下さい。
亡父の相続で祖父名義の土地があることが分かったが相続登記できますか?
可能です。ただし、祖父の相続人が亡父以外に複数人いる場合、相続人全員で誰が相続するか協議しなければいけません。亡くなった順が祖父⇒父であれば、妻である母とその子供が祖父の相続人になり、父⇒祖父の順であれば子供のみが祖父の相続人になって他の相続人と協議することになります。
相続人に認知症患者がいます、どうしたらよいですか?
判断能力がないと認められる認知症の方は、遺産分割協議に参加することはできません。方法としては2つ。家庭裁判所にお願いして後見人を選任してもらい、その方が代わって遺産分割協議に参加する。もう一つは、その方が亡くなるまで待って、その方の相続人が遺産分割協議に参加するという方法になります。
相続人に行方不明者がいます、どうしたらよいですか?
行方不明といえども、その方を無視して相続手続きを進めることはできません。方法としては2つ。家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、その方が代わって遺産分割協議に参加する。もう一つは、行方不明になって7年以上経過している場合、家庭裁判所に失踪宣告の申立を行い認めてもらえれば、その方は亡くなっている(法律上)とし手続きを進めることができます。
しかし、遺言書があれば話しは別です。相続人がA、B、Cで、Cが長年行方不明である場合、全財産をAとBに相続させるような遺言書を書いていれば、Cに関係なくAとBのみで相続手続き(相続登記も含む)することができます。
※ただし、この場合に注意すべき点として故人の口座解約があります。金融機関によっては独自の基準で遺言書があっても相続人全員の印鑑を要求してくることがあります。交渉にもよりますが、解約には不在者財産管理人の選任や失踪宣告等が必要になることもあります。

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