昭和の時代に発生している相続手続きをずっと放置していて、相続登記は法律で義務化されたのを機に相続登記をする場合、相続の流れを過去に遡って調べていく必要があります。
その場合、時代によっては今の相続法と内容が違うところもあり、その点に気を付ける必要があります。
現行の法律では相続する立場であるが、当時の相続法を適用すれば相続する立場ではないというようなこともあり、間違えてしまうと問題になってしまいますし、分配した後に修正するのは大変な作業になってしまいます。
ここでは、相続する地位と相続割合の変遷についてご説明します。
法定相続割合
現在の法定相続割合は以下のとおりです。
- 配偶者:子(直系卑属) ⇒ 1/2:1/2
- 配偶者:親 (直系尊属)⇒ 2/3:1/3
- 配偶者:兄弟姉妹 ⇒ 3/4:1/4
※代襲相続(相続発生時に相続人が亡くなっている場合に、その相続人に代わって相続する者)は、子はその卑属(子、孫と下の世代の者)、兄弟姉妹はその子のみ(孫は相続人にならない)が相続人となります。
親に対して祖父母が代襲することはありません。
例えば、相続人子A、BがいてAが亡くなっている場合、Aの子Cが代襲相続人としてBと共に相続しますが、親A、BがいてAが亡くなっている場合、Aの親Cは代襲相続人にはならずBのみが相続人になります。Bも亡くなっていれば、Cが尊属として相続人になります。
過去の相続
昔に相続が生じていてずっと放置している場合の相続は、その時代の相続法に従って処理することになります。
時代によって法定相続割合や相続人となる対象が変わっているので、注意する必要があります。
昭和22年5月3日~同年12月31日まで
- 子(卑属):配偶者 ⇒ 2/3:1/3
- 親(代襲なし):配偶者 ⇒ 1/2:1/2
- 兄弟姉妹(代襲なし):配偶者 ⇒ 2/3:1/3
※非嫡出子の相続分は、嫡出子の1/2。
昭和23年1月1日~昭和37年6月30日まで
- 子(卑属):配偶者 ⇒ 2/3:1/3
- 親(代襲なし):配偶者 ⇒ 1/2:1/2
- 兄弟姉妹:配偶者 ⇒ 2/3:1/3
※兄弟姉妹の代襲に限定なし(孫も可)。
昭和37年7月1日~昭和55年12月31日まで
- 子(卑属):配偶者 ⇒ 2/3:1/3
- 親(代襲なし):配偶者 ⇒ 1/2:1/2
- 兄弟姉妹:配偶者 ⇒ 2/3:1/3
※兄弟姉妹の代襲に限定なし(孫も可)。
昭和56年1月1日~平成13年6月30日
- 子(卑属):配偶者 ⇒ 1/2:1/2
- 親(代襲なし):配偶者 ⇒ 1/3:2/3
- 兄弟姉妹:配偶者 ⇒ 1/4:3/4
※兄弟姉妹の代襲は、その子までに限定。
平成13年7月1日~平成25年9月4日まで
- 子(卑属):配偶者 ⇒ 1/2:1/2
- 親(代襲なし):配偶者 ⇒ 1/3:2/3
- 兄弟姉妹:配偶者 ⇒ 1/4:3/4
※非嫡出子の相続分は、嫡出子と同じ。
まとめ
上記のように、相続割合、相続権は、時代と共に微妙に変化しており、長期間放置している相続手続きを行う場合、注意しなくてはいけません。
特に、兄弟姉妹が相続人になる場合で兄弟姉妹が被相続人により先に亡くなっているようなとき、今はその子供のみが代襲相続人となりますが、時代によっては孫の代も相続人(再代襲)になることがあります。
古ければ古いほど、相続人の数も多くなり手続きも複雑になるので、専門家である司法書士にご相談ください。
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