家業

家業として家族で商売をされている方も多くいらっしゃいます。
家族仲良く現状のまま商売を続けていくのも良いでしょうが、次第に商売が大きくなり対外的に信用度を上げるために法人化した方が良いとお考えになる方もおられます。
また、血縁関係の家族のみでやっていたが、子どもが結婚しその配偶者も商売に加わるようになり人数も多くなったので、これを機に法人化を検討する場合もあるでしょう。
子が数人、相続人が複数人いるのであれば、相続問題になることを心配して法人化される方もおられます。

会社を設立するにあたっては株式会社、合同会社が考えられます。
他に合名会社、合資会社という形態の会社もありますが、会社に対して無限に責任を負わなければいけない者(無限責任社員)が必要になってしまうので数としては少ないです。
家業として新たに会社法人設立するのであれば、株式会社か合同会社がおススメです。

株式会社か合同会社のどちらにするか悩むところです。
現在、株式会社も資本金1円から簡単に設立できるようになりましたが、設立後にいろいろと規制があったりします。
主なところで、役員に任期(非公開会社で最長10年)があり同じ人が役員をする続ける場合も任期ごとに選任決議、登記が必要になります。
また、毎年1回、事業年度終了後に定時株主総会を開き、そこで了承された決算内容を世間に向けて公告しなければいけません。
※経費面を考慮して、通常は数万円でできる官報で公告する会社が多いです。

対して、合同会社にはこれらの制約がありません。
同じ人であれば、その人が役員である限り選任も登記不要ですし、決算の公告も不要です。
会社が成長し、人も増え、更なる成長を目指すときに合同会社から株式会社に形態を変更することもできます。

このように設立後の会社法上の手続きを考えれば、断然合同会社が便利です。
家族で会社をやっていくのであれあば、尚更、登記やら公告やらに時間をとられることなく、仕事に集中できる合同会社が便利です。

今回は、家業を合同会社化する際に特に気を付けなければいけないポイントを司法書士が解説します。

ポイント1 会社の最終的意思決定方法

会社設立後、会社としての業務、方針をどうのように決めていくかが重要になります。
経営陣でいろいろ話し合い、最終的に意見を集約して決定しなければいけません。
このとき、決定方法、決定権限があいまいであれば、話し合いが延々と続きタイムリーが決定ができいない、内部で亀裂が起きる等々の不都合が生じるおそれがあります。

このような状態を避けるには、会社設立時に会社として最終的な意思・方針の決定方法を決めておく必要があります。

会社の意思とは

合同会社の社員が行うものとして常務と業務があります。
常務も業務ですが、日常的に行う業務として業務とは分けて考えます。

ここでいう業務とは、経営に関する業務を指します。
株式会社であれば、取締役が行うような経営的業務です。
対して常務とは、物品購入やルーテインワークのような日常的に行うことを言います。

常務は社員であれば誰で自身の判断で行うことができますが、業務は業務執行社員のみができる行為です。
※他の社員により常務について異議を述べられると社員による決議が必要になります。

会社法では、業務の内容は社員の過半数で決定すると規定されています。
ただし、定款で任意に他の決定方法を規定することが認められているので、何も決めていなければ社員総会で、他に独自の方法を決めていればその方法で決定されることになります。

定款規定の要否

定款に何も規定していない場合、社員全員による多数決です。
たとえば、家族全員で何事も決めていくようなスタイルでやっているのであれば、定款に規定する必要はありませんし、敢えて、”社員の過半数をもって決定する”と規定しても良いでしょう。

しかし、お父さん中心に、長男中心にやっているような場合、最終決定権者として中心者であるお父さんや長男にすることを定款で規定することもできます。
例えば、”当会社の業務は、社員〇〇の決定による。”とすることも可能です。
※ただし、決定権者の方が病気等で業務ができなくなる場合を備えて、そのときはどのようにするかを決めておくのが重要です。

家業の内容や家族関係等々を考慮しながら決めていくことになります。

ポイント2 社員の種類の設定

合同会社の社員には、3つの種類というか分け方があります。

  • 社員
  • 業務執行社員
  • 代表社員

上記は全て社員なんですが、業務執行社員とは、いわば、株式会社の取締役のように会社としての意思の決定権を持つ社員を指します。
代表社員は株式会社でいう代表取締役で、会社を代表する社員を指します。

定款に絡めて考えると、
出資者は全て社員になります。
定款で社員に関して何も規定してなければ、全員が社員であり、業務執行社員でもあり、会社を代表する社員ということになります。

社員の中に出資するだけや経営に携わらない人と経営者として業務を行う人がいる場合、定款に業務を行う社員(業務執行社員)を置く旨の記載をし、商業登記簿に業務執行社員の氏名を登記することになります。

業務執行社員の中から特定の者を代表社員にする場合、同じように定款にその旨を記載し、商業登記簿に代表社員の住所と氏名を登記することになります。

家族で合同会社を立ち上げる際、業務執行社員や代表社員を定款に規定するか、誰にするか、これらを検討する必要があるでしょう。