現地確認不能地

父が亡くなって相続手続きをしようと父名義の不動産を調べたら、土地の表題部の地図番号の項目に「国調現地確認不能」や「筆界未定地」という文字が。

現地で土地を確認できない、筆界が未定って何だろう?
確認もできない土地、筆界が未定である土地を相続しなければいけないの、相続できるの?

このように思われる方もおられると思います。
相続の対象となる不動産にこのような土地が含まれているのは一般的ではありませんが、現在もこのような土地は多く存在していますので、ご自身が相続人となる可能性はあります。

今回は、現地確認不能地と筆界未定地について解説します。

現地確認不能地とは

法務局に「公図」が保管されていますが、公図はかなり昔に調査された地図なので現在の状況とくい違うケースがあります。
各市町村が主体となって順次地積調査を行い現状に合うように都度修正していますが、調査したときに公図では存在しているはずの土地が現地で見当たらない、確認することができないケースがあります。

このように現地で確認できなかった土地を現地確認不能地と言い、当該土地の登記簿には「国調現地確認不能」と記録されることになります。

確認不能の理由

何故、このように確認できない土地が存在するかと言うと、土地の状況は時間の経過とともに変わっていきす。
現在であれば、土地の区画を変更した場合、分筆、合筆等をして結果を公図、登記簿に反映させますが、昔はその点があいまいなところがありました。

道路整備、道路拡幅工事をして私有地の一部を道路にしても、公図や登記簿にそれを反映せずに放置していた場合、工事後の状態と公図に違いが生じます。

その後、公図をベースに土地の地籍調査をしたところ、公図上ではあるはずの土地がない、そこには広い道路しかない、ということになります。

公図上の土地は道路の一部になっており、道路上のどの部分かは特定できず、結果、登記簿に「国調現地確認不能」(=国土調査で現地を確認することができなかった)と記録されることになります。

このように道路の一部になっている土地もあれば、河川や海の底になっている土地もあります。
通常、このような土地には固定資産税は課税されません。

筆界未定地とは

筆界とは一筆の土地の境界のことです。
隣接している甲土地と乙土地の地籍調査で、両土地の境界が決まっていればそれぞれの土地を一筆の土地として公図に表示しますが、調査時に何らかの理由で境界が決まらなかった場合、公図上境界を引いて甲土地、乙土地を一筆の土地として表示することができなくなります。

このような場合、公図上では甲乙を便宜的に一筆の土地として扱います。

例えば、甲土地(地番10ー1)と乙土地(地番10ー2)の境界が確認できず筆界未定地とされたら、甲土地と乙土地は公図では甲乙が一つの土地として「10ー1+10ー2」と表示されます。

境界が未定なので、甲、乙それぞれの土地に境界を引いて区分けすることができないからです。
※実際は甲乙の両所有者はそれぞれに土地を利用しているのでそれなりの境界が存在しているのですが、それは所有権界と言い筆界とは異なります(通常、所有権界と筆界は一致しますが、何かのトラブルで違ってしまうことがあります)。

そして、甲、乙それぞれの土地の登記簿には「国調筆界未定地」と表示されます。

未定になる理由

境界(筆界)が決められないには理由があります。
所有者間で境界でもめていて地籍調査の立合いを拒否したり、隣人が行方不明だったり、遠方に住んでいたり等で立ち会うことができなかったりすると、隣地両者で境界を確認してもらうことができないので調査する側も境界を確定することができません。

問題点

現地確認不能地、筆界未定地の両土地共にそのままの状態で相続登記は可能です。
両土地が抱えている問題を相続人がそのまま受け継ぐということなります。

現地確認不能地の問題点

通常、現地確認不能地に対して固定資産税は課税されていないので、固定資産税納税通知書には表示されていません。
相続登記をする場合、通知書に記載されている評価額をベースに登録免許税を計算しますが、通知書に載っていないので名寄帳、評価証明書等で調べることになります。

これらに土地の評価額が0円、非課税と記載されていても、相続登記には登録免許税が課せられますので、評価額(課税標準額)を出す必要があります。

この場合、近傍類似地の評価額に所定の計算式を用いて算出したりしますが、地域によっては評価基準値を指定されたり、役所が評価証明書に評価額相当額を記載したりする場合もあるので、確認する必要があります。

筆界未定地の問題点

筆界未定地に関しては、毎年送付される固定資産税納税通知書に記載されている評価額で登録免許税を割り出せますので、相続登記に関しては問題はありません。

ただし、筆界未定ならではの以下のような問題があります。

  1. 境界がトラブっているので売ることが困難。
  2. お金を借りる際に担保にするのが困難。
  3. 農地を宅地に転用するのが困難。
  4. 分筆、合筆ができない。
  5. 建築の許可が困難等々

以上のような様々なトラブルが考えられるので、解消するには境界を確定することが必要になります。

まとめ

現地確認不能地が道路や河川になっていれば、管理者である県や市に言えば引き取ってもらえる可能性があります。

海になっていれば滅失登記も可能ですので、役所や土地家屋調査士の先生に相談されるのが良いでしょう。
その状態で放置していても固定資産税はかからないので、支障がでるようなことはないと思われます。

筆界未定地に関しては、1人で対処することはできないので隣接地所有者と協議(筆界特定制度の利用等も含む)して決めることになります。

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